第4話

付き合いは順調だった。



付き合って3年が過ぎた頃、周りからは「いつ結婚するんだ」と言われるようになった。

ちょうど、結婚する友人が増えてきた時期。

広輝もそれを意識しない訳ではなかった。




しかし、その頃、仕事を任され始めた広輝は忙しくなり、茉奈とはすれ違う日々が続いた。





茉奈は、筋の通った女性ではあったが脆い所も多分にあった。





忙殺される日々の中で広輝は茉奈に癒しを求めた。

しかし、茉奈はそれに応える事は出来なかった。

甘えたがりな彼女もまた、広輝に会えない事がストレスだったからだ。




広輝は仕事を終えるとまず茉奈に電話をした。

例えそれが深夜であろうとも。

仕事中に何度も彼女から着信があるからだ。


何度かけても出ない事を詰られた。

仕事中だから出られなかった事を謝罪する。





初めはすぐに納得した茉奈も度重なると段々、簡単には納得しなくなっていった。


初めは必死で宥めていた広輝も段々、それが億劫になっていった。






お互いに、相手が拠り所では無く、重荷になってしまった。





限界を感じ、広輝が彼女に別れを切り出したのが半年前。

その直後、転勤の辞令を受けた。


何故公私ともに重なるのか、とも思ったが、彼女と物理的に離れられる事にホッとしたのも事実だった。

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