第13話

幾つくらいなんだろう?

高校生よりは大人に見える。


大学生?


この間来た教育実習の先生くらいかな?



「お兄さん何歳ですか?」




楽しそうに笑う彼はあたしが横にいる事を認めてくれたみたい。



「いくつにみえる?」



なんて、イタズラっぽく聞いてくる。



「うーん。20歳くらい?」



教育実習の先生の歳を思い出していってみた。

正直に言えば、大人の人の年齢ってよくわかんない。



「すご……まだ大学生でもいけるか?」



けどこの反応はどうやら外れみたいだ。



「お兄さんはよくここに来るの?」



もうさっきの質問に興味はうせてしまった。

それよりも気になる事。



「あれ。年齢はもういいの?

まあ、休みの日は時々来るかな……」



「ふーん……」






なんだか話が続かなくなって黙ってしまった。


もっと声が聴きたいのに、なに話せばいいんだろう……



黙ってしまったあたしに彼がクスリと笑う。




「猫みたいだな」



「え……?」



「名前はなにちゃん?」




「……麻央」



「まおちゃんか。本当に猫だ」




「なにそれ?」



「知らない?猫って中国語でマオって言うんだよ?可愛いね」



その笑顔は、なんか特別な力を持ってるのかもしれない。


ドクンと胸が締め上げられた。


熱が出そう……


風邪引いたのかな。

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