第5話
「どっちから来たか分かる?」
そう聞くと、少し困った様にキョロキョロとしてから震える指で太陽の方を指差した。
「……あっち……?」
自信なさげに天使があたしに尋ねる。
いや、あたしに聞かれても……
「……お姉ちゃんがママの所迄一緒にいってあげるよ」
けれどそう言えば、安心し切った様に天使は笑った。
まさに、天使の微笑み。
要は、スーパーにお母さんと一緒に来ていた。
お母さんが目を離した隙に猫を追いかけて山の中に入ってしまった。
スーパーは西の山の麓にある。
そういう事でしょ?
伊達に寄り道ばっかりしてない。
この辺りの地理ならかなり詳しい方だ。
この子の足ならそんなに遠くから来た訳が無い。
確か、この小山の麓には小さなショッピングセンターがある。
そこの事だ。
最悪、そこじゃなくても派出所がすぐ側にある。
完璧だ。
なんか、あたし冴えてるな。
「行こうか?」
手を差し伸べれば天使は嬉しそうにあたしの手をとった。
「うん!!」
泣いたカラスがもう笑った。
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