第30話

「……空が帰ってくるんだから俺なんてどうでもいいだろ」



投げやりにめんどくさそうに言うりっくんの言葉に私は勢いよく顔を上げて。



「そういうことじゃないよ! 私、また三人でいれるって……一人で楽しみにしてて、バカみたい……」



噛みつくように言い始めた言葉は、途中込み上げる涙に邪魔をされて失速した。

結局は、また私は俯いて膝に額を押し付けた。



「……ずっと一緒なんて、無理だろ」


「どうして……」


「もうガキじゃねーし」



りっくんはポツリポツリとこぼすように言葉にして、私はただ、自分とりっくんの想いの違いに哀しくてたまらなくなった。



「別に……どこにもいかないでとか、思ってたわけじゃないよ。ただ……一言くらい話してくれればとか……そしたら応援したのにとか……」


「……」



りっくんを見上げれば、私の視線に痛そうな顔をして目をそむけた。

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