第25話

ねえりっくん。

私はりっくんが、冷たいなぁって思ってたよ。


反抗期なのかな。

男の子だからなのかな。

もしかしたら、誤解されたくない好きな女の子ができたのかな。

そう思ってたよ。



でもね、嫌われてるなんて思ったことは一度も無かったんだ。

だってりっくんは無視はしないし、意地悪を言ってもいつもその後は『そんなこと思ってないよ』って伝えてくれていたでしょう?


それは、私の勘違いだったのかな。



ねえりっくん。

私はりっくんに好きな女の子ができたら応援するよ。

少し寂しいけどちゃんと応援するつもりだったよ。


りっくんが県外の大学に行くんだって言っても応援したかったよ。

『T大なんてすごいね。りっくんならきっと大丈夫だよ! りっくんは私の自慢の弟だもん!』

そう言って応援して、合格を一緒に喜びたかったよ。



ねえりっくん。

それさえもさせたくないくらい。

黙って離れたくなるくらい。

私のこと、鬱陶しく思ってたの?



卒業式を迎える直前。

まだ寒いけど春が迫ったその日。


どうしても止まらなくなった涙に、目はごまかしようもないほどに腫れ上がり、教室に戻った私は奈津ちゃんに気が早すぎると笑われた。

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