第40話

「何年彼女いないの?」




「・・・うるっせーな・・・。」




泣きたい時は泣かせてくれて、ふざけたい時は付き合ってくれる。



不機嫌な素振りを見せる和泉に、自然な笑みが零れてきた。



そう言えば、あたしはいっつも情けなく愚痴ったり泣いたりしてきたのに、実は和泉から女の子の話を聞いた事はあまり無いな、なんて事を今更思う。




「たまらない?」



「女がそーゆー事言うな!」




楽しくなって来てケラケラと笑いながら折角だから聞いてみる。




「和泉の恋バナって聞かないよね。好きな子いないの?」




勿体無いな、と思う。


和泉は本当に優しいのに。



和泉はあたしのその問いに、驚いたようにあたしを見つめ、それからニヤリと笑って



「・・・さあ?」



なんて勿体ぶる。




「何それ。それ位教えてくれたっていいじゃない。」




あたしがふくれればおかしそうに笑った。

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