第34話

「一年目は不倫だっけ?」


「知らなかったのよ。結婚してるなんて。」




そうして泣くと、いつもこうやって歯に衣着せぬ言葉であたしの過ちを復誦される。




「二年目は暴力男だろ?」



「始めは優しかったの。」




腫れ物に触る様な扱いはしない。


同情もしてくれない。




「んで、去年が浮気男。」



「違う。一昨年。」




忘れてくれれば良いのに。


優しい慰めの言葉をくれる訳じゃない。




「暫く落ち着いてて出来た彼氏にも浮気されて。」




けど、この飾らない言葉達に、嘘の無い言葉達に、常に気を張って笑顔を作っている嘘つきなあたしは、どこかホッとして甘えが顔を出すんだ・・・。



もういい加減にしようと思うのに、一人で立ち上がろうと思うのに、あたしはいつだって和泉に甘えてしまうんだ・・・。






「・・・違う・・・。あたしが、浮気相手だったの。」









そう。あたしじゃ無かった。






あの人の大切な人は・・・。

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