最底辺スキル『掃除』を極めたら、世界最強になった件

ムゲン

第1話 スキル「掃除」

俺はスグル、歳は18。


しがない掃除屋だ。


なぜ掃除屋をしているかって?


別に好きでやっているわけじゃない。


俺のスキルは「掃除」。


どんな汚れを見ても、その汚れの落とし方にピンとくる。


ただそれだけの能力だ。


今日も今日とて、俺はギルドの便所掃除をしていた。


あーあ、冒険者どものクソを掃除するとか、


カネをもらえるから仕方なくやっているだけで、


好き好んで誰がやるって言うんだ。


ゴンゴンッ!


「掃除中です、少々お待ちをー。」


俺の掃除中に冒険者がノックしてきた。


「んだと?便所掃除しか能のねえヤロウが俺のクソの時間を邪魔するんじゃねえ!」


そう言うと、冒険者はトイレの扉を開け、無理やり入ってきた。


ここにはトイレの鍵が無いのだ・・・。


「ちょ、掃除中です!」


冒険者はお構いなしにパンツをずりおろし、その場で勢いよくクソをした!


ブッ、ブリブリブリ、ブブッ!!!


すさまじい勢いの下痢が冒険者のケツからはじけ飛んだ!!!


「おっと、昨日は消費期限切れの魚食っちまったからな、はは。

 おい便所掃除のガキ!掃除しとけよ!がっはっは!」


そういうと、冒険者はケツも拭かずに便所をあとにした・・・。


クソックソックソ!!!


なんで俺があんなやつのクソを掃除しなきゃならん!


すべてはこのスキル「掃除」のせいだ!


俺にはこのスキル以外、何のとりえもない。


だから、俺はここで便所掃除をするしかないんだ・・・。


そんなある日・・・。


何やらギルドが騒がしい。


それもそのはず。


「勇者だ!勇者が帰ってきたぞ!!!」


そう、魔王戦に挑んでいた勇者がギルドに帰ってきたのだ。


魔王をやったのだろうか?


はたまた負けて帰ってきたのだろうか?


どちらにせよ、命があるだけ良いか。


そんなことを考えながら、俺も野次馬の後ろから勇者を見てみた。


すると、勇者の身体に怨念のようななにかがまとっているのが見えた。


勇者は当然、気だるい様子だ。


しかし、勇者は女性と聞いていたが、なんて美しいんだ。


金髪碧眼、巨乳ときた。


俺には絶対手の届かない美少女だった。


「くそっ!魔王のやつめ、私になにか呪いのようなものをかけてきた!

 その途端、身動きがとれんのだ!」


勇者はギルド長に訴えた。


なるほど、あの怨念のようなものは魔王の呪いなのか・・・。


俺は魔王の怨念をじっと見つめた。


すると・・・。


「うおーーーーーん!!!!」


怨念が俺の視線に気付いたのか、俺にとびかかってきた!


「うわああああ!!!」


瞬間、怨念が俺の身体を通り過ぎ、俺はその場に倒れた・・・。


---


俺は目を覚ました・・・。


俺は倒れたっきり、その場に寝ていたらしい。


誰も看病もしてくれない。


便所掃除人のことなんか誰も気にかけやしないさ。


しかし、あの怨念、何だったんだろう・・・。


俺はその晩、ギルドの寮に戻り風呂に入った。


「はあ、冒険者のクソの匂いがこびりついて離れやしない。」


俺は入念に身体を洗い、風呂を出た。


そして、なんとなしに鏡を見た。


「ひゃあああああ!!!」


俺は驚いた。


だって、俺の左目が紫色になっているんだもの!


なんだこれ!?


わからん・・・。


気絶していた間に、目玉でも踏まれて、充血しているのだろうか。


しかし、痛みは無い。


痛くないならそのうち治るだろう。


俺は多少気になりつつも、床についた。


翌朝。


念のため、俺は病院へ行った。


「うーん。これは呪いの一種だな。

 医者じゃどうにもできん、祓い師のところへ行くがいい。」


なるほど、呪いねえ・・・。


俺は病院を後にし、祓い師のところへ行った。


すると、先客がいた。


「なんだと!?

 城一番の祓い師であるお前が祓えないとなると、私は一生このままか!?」


ん?聞き覚えのある声。


そうだ、昨日ギルドで見かけた勇者だ!


俺は祓い師の館のテントの隙間から勇者の様子をちらと覗き見た。


すると、やはり勇者には怨念が付いていた。


そして、その怨念を見るやいなや、俺のスキル「掃除」が発動する感覚があった!


俺の左目から光が発せられ、勇者についた怨念が一瞬で消え去ったのだ!!!


「なんだ、この光は!

 くせ者か!」


勇者と目が合った。


「ひ、ひえええ。悪いことなんてしてません。

 俺のスキルが勝手に暴発したんです!」


俺はとっさに弁明した。


「ん?スキル?

 そう言われてみると、私にかかった呪いが消えているようだな・・・。

 さては、お前が呪いを消し去ってくれたのか!」


「へ?」


俺はまったく意味が分からなかった。


だって、俺は単なる掃除屋。


祓い師でもなんでもない。


「んん!

 その紫の眼はまさしく魔眼!

 選ばれた者にしか宿らないものだぞ!」


勇者は俺の左目を指さし叫んだ。


魔眼?


俺の左目、魔眼なの?


「俺、魔眼なんて知りません・・・。」


「いいや、それは魔眼だ!

 お前、私たちのパーティに来ないか!?

 その能力、魔王戦で必ず役に立つ!」


えええええ!!!


お、俺が勇者パーティに!?



<作者あとがき>


次回、パンティ能力覚醒!?


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