第3話 百合好き旦那とBL好き奥さん
「ね、ね、薫くん、薫くん」
「ん?どうしたの美羽」
休日の一部屋、大きなテレビの前に置いてある大きなソファに座る二人の姿。今日の休日は美羽の一言でゆっくりする事に決まる。
「今日ね、由利亜ちゃんとお話し出来ないし、次の連休に一緒に出掛けるから、薫くんと同僚くんの話し聞いていい?」
薫の腕にぎゅっと抱き着き、見上げる美羽の表情に笑みを溢し、薫は頭をなでなでと撫でた。
「もちろん、美羽と牧田さんは本当に…ほ、本当にっ、仲良くて羨ましいよ、ほんと、うん、ほんと尊い…本当は僕なんかが間に入る事は許されない、ただ、美羽は僕の奥さんだし、ああ、でも、間にはっ」
「もう、またそんな!それを言うなら私だって、同僚くんと薫くんの邪魔してるものよ、本当は会社以外でもきっと、きっと!あー、もう萌えだよ!でも薫くんも私の旦那さんだしっ」
互いに互いが頬を赤く染め、何度も何度も妄想の世界に耽るのが数時間続く。そこを我に返ったのは薫。
「あ、忘れるところだった。この前、石嶋に美羽の言ってた事を言っておいたよ。うちにご飯食べにどうぞって」
「え、本当?石嶋さんって、薫くんの同僚の泣きぼくろが受け顔のあの同僚くん?」
「うん、美羽の言ってた、僕が鬼畜攻めするあの同僚の石嶋だよ」
薫の言葉を聞いた瞬間に、美羽はそれはそれはよだれが垂れそうな程に喜んだ表情を見せる。
「わあ、嬉しい!薫くん、早速言ってくれたんだ、あ、そしたらいつくらいに食べに来るのかな?その時に由利亜ちゃんも呼ぼうと思ってて」
「ま、牧田さんも?また、この前みたいにぎゅうぎゅうっと互いに抱き着いて出迎えてくれたりするのかい?」
「薫くんこそ、前みたいに酔っ払った石嶋さんの腰を抱いてうちに帰って来てくれるでしょ?」
再度、互いに互いが妄想の世界に耽る。
「うちに、泊まるのかな。石嶋さんが泊まるなら、由利亜ちゃんも一緒に泊まらないと。そしたら私と由利亜ちゃんが一緒に寝て、薫くんと石嶋さんが別部屋で一緒に寝る……やだ、どうしよっ」
「石嶋が泊まると牧田さんも泊まるのか…夜の百合……一緒の布団で手を繋いで寝る姿……ああ、考えるだけで、胸が一杯だ」
「ね、ね、いつにする?早い方が良いな!薫くんと石嶋さんの好きな料理いっぱい作らなきゃ、由利亜ちゃんと」
「一緒の料理姿、エプロンもお揃いかい?早く見たいな、早めにセッティングしとくよ、うん」
嬉しそうな声色ではしゃぐ美羽が、薫の腕に腕を絡ませつつ、肩に頭を置いて甘えた仕草を見せる。
そんな美羽の頭に手を置き撫でてから、頭部へと唇を寄せ、ちゅっと口付けた。
周りからはみたら、それはそれはラブラブしたイチャイチャした姿だが、互いの脳内には尊い百合とBL脳となっている。
周りからはそんな脳内は見えないのであった。
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