異世界転生かと思ったらシューティングゲームだと!?

真田 了

序章

ゲームセンター

ボボボボボボボ…!!


ディスプレイの両サイドにあるスピーカーから、敵にダメージを与えている効果音が響く。自機――俺が操る戦闘機――から弾が連続で射出され、全弾がラスボスの弱点コアに命中しているのだ。

俺がプレイしているのはオーソドックスな(右向きに進む)横スクロール型のシューティングゲーム。

ボスは宇宙空間内をランダムに動き回るが(と言っても画面右半分だけなのでぬるいが)、自機は上下から降り注ぐ敵のミサイルを的確に避けつつ、ぴったりとボスの動きに追随している。厳密には1フレーム遅れ(普通のプレイヤーなら、追随しようと思っても数フレームは遅れるはず)だが、それが分かるのは上級者だけだろう。


やがて累積ダメージがボスの耐久度を突破した。

ボンボンボーン!!ズズズズズ…

ラスボスが爆発のグラフィックと共に画面の下に沈んでいく。


「うっしゃあ!」

俺は小さくガッツポーズをした。

やはりシューティングゲームをクリアしたときの達成感は心地いい。


このゲームはラスボスを倒すと最初のステージに戻って周回できるが、難易度VERY HARDをノーミスでクリアした今、これ以上難しくなることは無い。

さすがに少し疲れたし、今日はここまでにしておこう。


何も操作せずにいると、自機は瞬く間に敵にやられ、ゲームオーバーになった。

得点は(当然のように)トップのハイスコアだったので、栄誉として名前を入力できる。

俺は「GREN」と入力してから席を立った。


・・・


俺が今居る場所はゲームセンター(ゲーセン)だ。

近頃はゲーセン自体があまり無いが、昔ながらのゲーム台を置いているゲーセンとなると、もっと少ない。

ほとんどのゲーセンを占めているのは、写真を撮ってデコることが出来る奴やらぬいぐるみが取れるクレーンゲームやら、そんなのばっかりだ。


ここのゲーセンはレトロなシューティングゲームを置いている貴重なゲーセンではあるが、やはり繁盛しているとは言い難い。


格闘ゲームの所には数人の人だかりが出来ているが、俺のプレイを見ていたギャラリーは一人もいない。見ていれば、俺のプレイが超絶技巧の連続だったことに感嘆驚嘆大感激で感涙しただろうに。


俺の親父はゲーム業界の成長と共に若い頃を過ごした世代で、その頃はゲーセンは活気に満ちていたらしい。

まったく、俺もシューティングゲームの全盛期に生まれたかったぜ。


「ちっ」

俺は舌打ちしつつ、ゲーセンの外に出た。

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