呪い代行に頼むぐらいなら、金のシャチホコの上で笑え!②

kaku

シャチホコ8匹目 溜まった物は捨てるべしっ! ついでに甲斐性のない男も捨てるべしっ!

 甲斐性―事をやり遂げようとする気力、根性。また、働きがあって頼もしい気性。多く、経済的な生活能力をいう。(大辞泉より)

 

 ふむふむ、なるほどって……

 何ですかっ、このタイトルはっっ!

 これは、この題名タイトルはっっっ!

「何故にこのような題名に……!」

 って、人の台詞を取るんじゃねえっ―じゃない、N様、N様、しっかりしてくださいませっっっ!

 せっかく戻ってきたN様が、またしても倒れられてしまわれ―って言っている側から、今度はK3様が、

「な、何故にっっっっっ!」

 だあああ~K3様、K3様しっかりしてくださいませっっっつ!

「これはまた、男ん人達が引っ繰り返りそうな題名タイトルやな。ちゅうか、もう引っ繰り返っとんもんがおるわ」

「わたくしが言うべきことではないんだけど、ただでさえ独身街道を驀進されていますのに、これ以上独走状態に入られてどうなさるのです?」

 わたくしが付けたタイトルではありませんわっっっ!

「じゃあ、誰が付けたん?」

「うちどすぇ」

 ―はい?

「その題名を付けたのは、うちどす」

 どなた様ですかっっっ!

「嫌やわ。あんたはん、うちのこと忘れはったんですか?」

 忘れさせてくれませんこと!?

「いけずやなあ。これやから、独身街道を驀進して独走して突っ走ってんとちゃう?」

 よけいなお世話ですわっっっ!

「あら、Mちゃん」

「ああ、おひさしぶりやなあ、K2はん」

「うちもおるで」

「いややわ、わかっとるよLはん」

「そやけど、なんでうちの方が後に呼ばれるん?」

「そんないけず言わんといてな。そんなん、K2はんの方が先に名前を呼んでくれはったからやないの」

「ふふっ。今回は、わたくしの勝ちのようね、Lちゃん」

 ……すいません、読者の皆様。

 わたくし、倒れてようございますか!?

 どこから見ても戦国武将、でも話し方は女性らしい殿方と、一見可憐なアメリカ人美少女、しかし言葉と思考はばりばりの関西のおばちゃんという御方。

 このお二方が並んでしゃべっているだけでも面妖ですのに、何でそこに、外見・ナイスガイのイケ面フランス人の男性、でーも話し方は、京言葉の方が乱入されにゃならんのですか!?

「あきまへんのか?」

 ただでさえ収集が付かない状況ですのに、これ以上、混沌とさせないでくださいませんこと!?

「細かいことを気にしてはあきまへん。あんさんとは前回もご一緒させていただいた仲やないの。そやから今回は、うちがええ開運方法紹介させてもらいますどえ」

「あら。それはなあに、Mちゃん」

「もったいつけんで、はよ教えて」

「まずは、甲斐性のない男はんを捨てはることどす」

 ざっぱーん!

 わたくしをすっ飛ばして言った台詞がそれですかっっっ! 

 読者の方々もえーかげん、我慢も限界ですわよ!?

 F国の大統領を長く務めた功績は認めますが、ちゃっかり愛人もいらっしゃったあなた様に、甲斐性の云々とは言われたくない方も多いですわよっっっ!

「それが違いますねん」

 はい?

「あんさんは、勘違いしてはります。いや、世の男はん達もみーんな勘違いしてはりますんや。『甲斐性なし』って言わはったら、稼ぎの少ない男はんのことやと思われてへんか?」

 へっ? でも、たいていの方は皆……。

「ええどすか? もう一度『甲斐性』の意味見てくだはれ」

 えーと、甲斐性―事をやり遂げようとする気力、根性。また、働きがあって頼もしい気性。多く、経済的な生活能力をいう。(大辞泉より)って、ことですわよ!?

「そうどす。どうしても、『経済力』に注目がいってはりますけど、本来『甲斐性』ってのは、事をやり遂げようとする気力や根性がある方のことを言いますねん。そやから、稼ぎ云々はこの『甲斐性』の意味の一つですえ」

 い、言われてみれば……。

「そうどす。そして、こっからが本題どす」

 本題ですか?

「『浮気は男の甲斐性』ちゅうのは、大まちがいどす」

 はいぃぃぃ!?

「あら。面白いことを言い出したわね、Mちゃん」

「うちの旦那も稼ぎの部分では、甲斐性はなかったけど、捨てようと思ったことはないで。何か、その辺は理由があるんやろ?」

「その通りですわ、K2はん、Lはん」

 ど、どーゆことですか!?

「そもそも、『浮気をすることが甲斐性』と考えること事態がまちがってはるんや。浮気をするのが、甲斐性やありまへん。甲斐性のある男はんだけが、浮気をする資格があるんどす!」

 はいぃぃぃ!?

「ええでっか? そもそも浮気ちゅうもんは、奥さんの他にええ人をこさえるっちゅうことです。」

 まあ、そーですわね。それが「浮気」ってやつですから。

「それは、すなわち、奥さんの他にそん人も養わなわいかんっちゅうことでっせ」

 どーん!

 そ、そ、それは……!

「ええことしはりやったら、子もできはる可能性があります。その子も含めて養う覚悟を持ち、なおかつ奥さんの方も養うんどす。もちろん、奥さん以外のええ人に良い思いさせたくて、奥さんにお金を渡さんなんぞ、論外や。そんなんは、ただの『甲斐性なし』ですわ」

 さらにどどーん!

 あ、でも。

 その論理だとM様。その方々を養う財力をお持ちの方は、浮気してもオッケーってことじゃないですか?

 結局、御自身には浮気をする資格があるんだよーと主張したいだけじゃないですかっっっっ!

「それは、ちゃいます。財力だけで『甲斐性』とは言いまへんがな。もう一度、『甲斐性』の意味を確認してみなはれ」

 何ですと!?

「それは、わたくしが確認してみたわ。」

「速いなあ、K2ちゃん」

「Mちゃん、あまり若い人を苛めるものではないわ。ついやってしまうのはわかるけれど、ほどほどにしておかないと」

 ああ……! 

 今回ばかりは、K2様が天使に見えますわっっっ!

「ごっつい天使はんどすなあ」

 こっの、男は……!

「ええかげんにしとき、Mちゃん。人をからかうのも、ほどほどにせんと、いけずやで。なあ、K2ちゃん」

「ふふふっ。じゃあ、このごっつい天使が確認したことを言いますわね。確かに、『甲斐性』には、『事をやり遂げようとする気力、根性。また、働きがあって頼もしい気性』とあるわ。つまり、Mちゃんが言いたいのは、お金の甲斐性だけじゃなくて、気持ちの『甲斐性』―ようするに、ご自分の良い方全員に、サービスする気力と根性が必要だってことかしら?」

「その通りや! さすがK2はん、察しが良いお方どすわっ! そうどす。『甲斐性』とは経済力の他に、女はん達にサービスする気力と根性のことを言うんどす!!」

 さらにさらにどどーん!

 って、そ、それは……!

「そう……つまり、財力だけはだめなんどす。自分の良い人にした女はんを全員満足させるサービスができんといかんのですわっっっ!」

 そ、それは、もちろん奥様を筆頭にですよね……。

「当たり前どす。他のええ人に夢中で奥さんをないがしろにするなんぞ、それこそ『甲斐性なし』ですわ! さらにもっと言うならば、浮気はばれんようにするのが作法どす。それもできへんで『男の浮気は甲斐性』と言い放つ男はんは、それこそただの『甲斐性なし!』どすえ」

 言い切られましたよ、この方は……!

「本当のことですやん。あんさん、『浮気は男の甲斐性』と言い放ち、稼いだ金は愛人はんに使い、あげくに『自分に尽くせ』とのたまう男を、夫にしたいと思いはる?」

 まったく思いませんわねっ!

「ほら、即答ですやん。もちろん、現実はそう簡単にはいかへんけど、そーんな頭お花畑状態の甲斐性なしの男はんなんぞ、捨ててしまった方がええと思いはるやろ?」

 そ、それは……!

「まあ、そうやな。うちの旦那も稼ぎは全くなかったけど、捨てようとは思わんかったもんなあ」

「あら、でたわね。Lちゃんお得意のおのろけ」

「おのろけとはなんや、K2ちゃん。うちの夫は稼ぎがなかったって言う話やんか」

「でも、それでも、別れようと思わなかったんでしょ?」

「……そー言うのを、いけずと言うんやで!」

 あ、L様が照れていらっしゃいますっ。

 ですが、この「甲斐性なしの男を捨てる」という話と、開運のお話なんて、何の関係性も―

「おおありですやん!」

 どわっ、ここでいきなり大きな声を出さないでくださいませ!

「ええどすか? さっきまでの話は、あくまでも『人』やったけど、この『甲斐性なしの男』を、『持ち主はん』に置き換えて、『ええ人』を『物』と考えるんどす。どうどすか?もし、あんさんがその『物』の一つとして、『甲斐性なしの男』はんがするように扱われたら?」

 は、はあぁぁぁぁい!?

「あんさんは、店で自分を買ってくれるご主人さんをずっと待ってはった。待って待って、ようやっと買ってくれはったお人は、ところがどっこい、全然あんさんを使ってくれへん。それどころか、自分と同じような物がご主人はんの家にはあふれかえっておって、手入れも全然してくれへん。なのにや。また自分と同じような物を買ってきはのやで? こんなお人に買われたいと思いはります?」

 いやです!

「見事な即答ですわね」

「でも、うちも嫌やで、そんな主人」

「まあ、そうやろうな。わても嫌ですわ、そんなご主人はん。確かに、物には、人間のような『意志』ちゅうもんはありまへん。けど、物には物の『魂』ちゅうもんはあると、わては思っとります。『物』として生まれてきたからには、自分をぎょうさん使って欲しい、ご主人はんとなったお人のお役に立ちたいと、願っとるんに違いないんどす。それなのに、そのご主人はんは、そんな『物』達の思いに応えず、新しい物を買ってきては、見向きもしまへん。使いもしはりまへん、手入れなど、もっての他や。そんな『甲斐性なし』のご主人はんに『物』達が、良い感情を持ちますか?」

 持ちませんわね、もちろん!

「そうでっしゃろ? そんな『物』達が溢れた返った部屋におって、『開運』が出来ると、あんさん思われはる? 『この甲斐性なし!』と思うてはる女はん達に囲まれて暮らしているようなもんやで」

 ヘタなホラー映画より怖いと思うのは、わたくしだけでしょうか……!

「『物』は、使われるために、この世に存在するんどす。『物』は、使われてこそ、その真価を発揮する。使われてこその、『物』ですえ。それができへん『物』は、その存在する意味がないのどすわ」

 そ、それは……! 

「たかだか『物』ごとき、と言わはりますか?しかし、あんさんのお国のお人は、昔からそう考えはったですやん。『物』にも、『魂』は宿ると」

「まあ、それはわたくしの時代でもそうですわ。昔から物は大切に使うと、『魂』が宿ると考えていたし、物を無駄にすれば、バチが当たると考えていたわ」

「そやそや。それは、うちかて同じや。まあ、うちの場合はたいがいのもんは作るしかなかったさかい、無駄なもんは、一つもなかったもんなあ。りんごの芯は、保存のために使いよったし、はぎれは、それこそ繋いで使うもんやと思っとったし」

「それは、わたくしもやっていたわよ」

「そういや、K2ちゃんが作ったパッチワーク、今でも残っとるって聞いたで」

「嫌だわ、そんな話どこで聞いたの? Lちゃんったら」

「そう言って、頬を染めはるK2はんは、かわいいどすなあ」

 あえて、コメントは差し控えさせて頂きます……!って言うか、そう思えるM様、只者じゃないですわっっっ!

「あら。そんなお世辞は言わなくてもいいのよ、Mちゃん」

「お世辞ではないどすえ。K2はんは、うちかわいいと思います。実際、かわいいお人でっしゃろ?」

 それをご本人の前で言うのが、さすが老いても恋せよ! のお国の方でございますわっっっ!

「そんお人の本質を捉え、褒める。人付き合いの基本ですわ。そして、『物』もそうでっせ。その『物』の本質を捉え、自分に必要かどうか見極める。とても大切なことや。『持っていること』に満足して、使うことができへんなら、それは、自分とって必要のないもんってことですえ」

 そ、それは……! く、くやしいけれど、当たっているような気がしますわっっっ。って言うか、わたくし、心当たりありますっっ!

「そう言えば、あんさんご自分の荷物を、大処分しなはったんでしたなあ」

 え、ええ……! お仕事を退職する前後から自分には不必要な物を、少しずつ処分していたのですわ! 

 そして今では、かなり減りました。必要ないと思ったものは、全て、リサイクルショップだの古本屋だのに売って、オークションも利用して、古くなったものは、捨てたりしましたものっっっっ!

「つまり、あんさんも、部屋に無駄な物をあふれかえさせていたお人ってことやな」

 どーん!

 ひ、否定したいのですが、全くの事実ですから、どうしようもありませんわ……!

「まーたく、Mちゃん。いくらこの方が素直だからって、あんまりいじわるなことを言うのではないわ。まあ、気持ちはわかるけど」

 ―はっ?

「まあ、Mちゃんがずーといた世界にゃ、魑魅魍魎ばっかりやったさかい、こん人みたいに素直なお人がかわいいんのはわかるけど、やりすぎたら、やっぱいけずやで」

「K2はんも、Lはんも厳しいおすなあ」

「そう言うなら、きちんと続きを教えてくれないと。『物』達に『魂』があることは、わたくしも同感ですわ。そして、その『物』達をきちんと使いこなせなければ、持っていても意味がないことも、わかりますわ。でもそれが、どうして『開運』 につながるの?」

「それは簡単どす。質量保存の法則や」


 質量保存の法則―化学反応の前とあとで物質の総質量は変わらない、という法則。ラボアジエが確認したもので、近代化学の基礎となった。原子核の反応ではあてはまらない。質量不変の法則。(大辞泉より)


 ケンカ売ってはりますのかっっっっ!

「ま、まあ、落ち着かれませ」

 離してくださいませ、K2様っっっっ。

 今回だけは、今回だけは、何で化学の話なんぞ出てくるんですかっっっっ。

 高校時代に化学に苦戦したわたくしへのあてつけですかっっっ!

「そんなわけありまへん。これは、この話の肝でっせ。ええどすか? さっきから言うてますやろ? 『物』を使いこなす『甲斐性』がなければ、『物』を持ってはあきまへん。そやから、使いこなせん物は、手放したらよろし。そうしたら、新しい物が入ってくるようになりますえ」

 え……?

「ああ……なるほど、そういうことか」

 えーと、L様?

「『甲斐性』を部屋に例えるとわかりやすいかもしれへんな。つまりや、その『物』を収納できるスペースちゅうもんは、最初から決まっとるやろ? 一畳なら一畳分の、三畳なら三畳分のスペースしか確保できへん。つまり、そこがいっぱいなら、新しい『物』は置くことができへんってこっちゃ」

 あっ……!

「新しい『物』を入れるためには、そこから荷物を出さんといかん。Mちゃんの言いたいことは、そういうことやろ?」

「そうどす! さすがLはんや。己の『甲斐性』以上のもんを持とうとしても、使いこなせんなら意味ありまへん。そんことに気付いて、自分の使いこなせん物を人に譲ったり、処分したりすることで、己の『甲斐性』も見えてくるんどす。自分のスペース以上のものを、人は持てまへん。わてが『質量保存の法則』っちゅうんは、そういう意味どす。新しいもんが欲しいなら、整理して、スペースを空けなあきまへんのや」

 そ、そー言えば、わたくしも自分の荷物を処分した後、手頃な値段で、使い勝手のよさそうなバックとか、ヘヴィローテーションで使えそうなコートとかを、手に入れることができましたわ!!

 それに、リサイクルショップやオークションで売った物で、少しですが臨時収入もありましたっっ……すぐに、携帯電話代とかになってしまいましたけどっっっ!

 それから、グラガの章でも、N様がおっしゃってましたっっっ。

 自分に必要な物と不必要な物がわかってくれば、人は自分の「立ち位置」がわかると。

「あら。この子も、さすがにいっぱしのことを言う経験をしただけはあるわね。なかなか良いことを言うようになったわ」

 K2様、そ、それは! 

 戦で仲間や友人を亡くし、病で子を亡くし、故郷ですら、N様は失ってしまったのですからっっっ。

「ふふっ。だから、よ。わたくしが生きていた頃のこの子だったら、きっとまだまだ『甲斐性』のスペースは狭かったと思うわ。だけど、つらい思いをして、いろんな体験をして、この子の『甲斐性』は広くなっていったのね」

「K2ちゃんほどの『甲斐性』は、この子にはまだないと思うで」

「まあまあ。Lはん、K2はんの場合は、『甲斐性』の広さが桁はずれや。こん人のんは、並の人間には持てへん広さやで」

 ……今から約五十年前に亡くなった方が、さらにその前の四百年前に亡くなった方を「まだまだ」と言い、それを約二十年前に亡くなった方がフォローするってのは、何といいますか……異様ですわ……。

「死んでしまったら、あんまり関係ありまへんで。わてらがいる世界は、ある意味ごった煮でっせ」

 ごった煮ですか……!

「まあ、その辺は横に置いておいて。やっぱり、Mちゃんは女性には優しいのね。この賞の趣旨も、女性の皆さんには良いけど、男性の皆さんには、ちょっと厳し目じゃなくて?」

「何言ってはりますのや。別に『甲斐性』のないもんは、男はんだけやありまへん。『甲斐性』のないお人は、女はんでも捨てられまっせ」

 M様、そ、それは……!

「言いましたやろ? 別に稼ぎのことだけが、甲斐性やありまへん。例えば、あんさんが男やとして、一生懸命働いているのに感謝もせんと、『稼ぎが少ない、もっと稼いでこい』と言うだけで、なーんもせん奥はんなんぞ、大切にしようと思いはりますか?」

 いいえっ!

「気持ちのええ即答やなあ」

「Lちゃん、本当に楽しそうね」

「まあなあ。でも、夫婦関係ちゅうんは、傍から見ていても、わからんことも多いことも忘れんで欲しいな」

「Lはん」

「そうやろ? Mちゃん」

「……かないまへんな、Lはんには」

 ……何と申しますか。切なげなM様です。

「ふふっ。こればっかりは、わたくしにはわからないことね。残念ながら。まあ、良き殿方のゲットの夢っっっ。あきらめませんことよ!!!」

 ずざあっっっ~~~!

「その調子でっせ、K2はん! わても良い女子はん、ぎょうさん知り合うのが目標ですねんっっっ!」

「よしゃ、その意気やっっ!」

 す、すいません。L様。このお二方止めてくださらないのですか!?

「止める必要が、どこにあるん?」

 さらにずざあっっっっ~~~~~~!

「あんな、うちらは生きてきた時に持ってきたもんを、ぜーんぶ手放して来たんや。もちろん、後から来たもんと、再度縁を結ぶ時もある。けど、それは、新しくまた選んだんや」

 ……L様。

「うちは、まだええ。結局は、その『持っているもの』は、たいしたもんやなかった。うちの『甲斐性』は、そこまで広くなかったからな。でも、あん二人はそうやないやろ? 生きているうちは、手放したくても手放せんだったもんもある。もちろん、それを手放せんと決めたのは、自分や。それを手放してしまったら、生きていけん、ってもんもあったろうしな。そういう意味では、『死』ちゅうもんも、理不尽やな。そんな思いまで、みーんな奪ってしまうんやからな」

 ……。何と言いますか。何と言えば良いのでしょうか……。

「まあ、深く考えんでええよ。あんさんは、生きている人や。生きている人は、色々考えればええんよ。自分が何を大切にしたいのか、何を守りたいのか。そして、何が欲しいのか。ブランドもんのバックぎょうさん持ってても、満足できんのなら、きっと違うのが欲しいんや。そういうことを考えながら、整理整頓はすればええと思うで。己の『甲斐性』を知ることは、決して無駄やないからな。うちらのような『自由』を手に入れるんは、その後や。何十年後の先でええよ」

 ……L様。

「良き殿方のゲット!」

「良き女子はんとたくさん知り合うで!」

 さらにさらにずざあっっっっ~~~~~~!

 結局、けっーきょく、最後はこのオチですかいっっっっ!

 前章に続いて、L様が格好良く決めてくださいましたのにっっっ~~~~!

「その調子やで、二人ともっっ!」

 も、もう、この先この先、本当にどーなって行くのか。

 と、とにかく、皆様。見捨てることだけは止めてくださいませ~~~~~!

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