一章始まりの出会い

Awakening

Awakening






??「♪〜〜   ♪〜   ♫〜」





臣「(……ここは……)」



薄緑色の透き通った髪の少年_______


六角 臣(ろっかく おみ)が次に目を覚ましたのは


ゴミとネズミだらけの路地裏ではなく清潔なベッドとそれに似合う真っ白な天井だった。



そして視界の端にはふわふわとした水色の何かと耳に入ってくるのは穏やかな歌声



まだボーッと頭を働かせると

気絶する前まで追われていたことを思い出して勢いよく起き上がった


臣「っ!?」


そして気絶する前よりマシにはなったとはいえまだ痛む右胸部を教える。



??「おぉ!?びっくりした!起きた??おはよ〜!」


先程まで臣の寝ているベッドのそばで背を向けていた


晴れ渡るぞ青空のような水色の髪の少女が急に起き上がった臣に驚いてそちらへと向く




どうらや先ほどまでの歌の主も彼女のようだ。




??「ロクローがだいぶ開きかけてた傷口は閉じ直したから後は安静にして栄養と鉄分とってれば命に別状はないって言ってたけど。


まだ痛む??待っててねロクローに痛み止め頼むから」



と少女は近くの扉から

ロクローと呼ばれる人物に声をかける




その様子を警戒しながら見つめる臣

臣「(なんだ、こいつ。奴等の仲間か?? 


隙をついてまた逃げるか…


相手は今のところ俺よりもガキっぽいけど……)」



何やら少し離れた距離から会話している少女



??「え?熱??




分かった〜!今から測ってもらう!!


お薬よろしくね!!」



と大声で扉の外のロクローに言い終わった少女は再び臣のいるベッドのそばに歩み寄って近くの引き出しから体温計を取り出すと


??「ロクローが先に熱測ってくださいって!」


とそう言って臣に体温計を差し出そうと

手を伸ばした



臣「っ!!!!!!」


臣は警戒心MAXで距離を取ろうと後退り



??「ちょっ!!危なっ!!」


そのままベッドから落ちそうになり少女がそれを引っ張って止めようとくるが体格的に不可能で二人して床に転落しそうになっていたところを



???「おや、危ないですよ??」


軽々とベッドに引き上げたのは

一人の黒髪の青年だった



??「ふぅ…ありがとうロクロー」


黒髪の青年が先程から少女の口からよく出ているロクローらしい



臣「………(増えた…一体なんなんだこいつら……)」



ロクロー「お二人ともお怪我はなさそうですね。



ところで何故あんな状態に??」


と脇に挟んでいたバインダーと何種類かの薬の瓶近くの机に置いて調合しながらそう問いかける。



??「私のこと怖かったのか体温計渡そうとしたら後退りして落ちそうになってて」


ロクロー「……シュシュさん彼に説明しました??」




とロクローの口からシュシュという名前が出たかと思うとその少女が反応を示した。


シュシュ「あっ…ごめん!!胸押さえてたから痛いのかと思ってロクロー呼ばなきゃって!!全部すっ飛ばしてたんだ!!」


とシュシュはハッとして臣に謝る



そのやりとりを見ていて臣は完全な敵ではないと思ったのか少し落ち着いて


臣「……俺はあの路地裏で死にかけてた…なのに今はここにいる。


あんたらが助けてくれたのか??」


そう口を開いた。


ロクロー「傷口を塞いだのは僕ですけど。君を見つけたのはシュシュさんですよ。」



シュシュ「うん、ロミオのこと路地裏で見つけてヤバそうだったから連れてきた!」


臣「ろ、みお??」



シュシュ「うん!六角 臣君だからあだ名はロミオ!どう?いいでしょ?」



臣「なんで俺の名前知って!?」


ロクロー「失礼ながら服用中の薬とか持病とかないか調べるために持ち物をみなせていただきました。



その時に身分証明書も」


臣「あぁ…それは…仕方ない。」


臣はなんともいえずにそう言った。



臣「(本当に奴等の仲間でもなさそうだし…)あんたらは一体何者なんだ??」




シュシュ「うん!説明したいんだけどとりあえず熱測ってお薬飲んでみんな呼んだからの方がいいかな?」


と体温計を再度渡すシュシュ


今度は素直に受け取り計温する臣




すると


??「シュシュちゃん!!


拾ってきた男の身元調べ終わったぞ!



六角 臣 18歳


この近くの大学に通う一年生で


大学の先輩が人身事故起こして保険も入ってないとかで示談金払うためにアホみたいな額を闇金に借りててな



その保証人になってその先輩が姿くらませた結果


金回収のために臓器の半分を売り飛ばされる予定だったみたいだから…多分その途中で逃げ出した……ってなんだ。起きてのか!!


生きててよかったな!!」




シュシュよりも少し年上で臣よりも年下の少年が印刷した資料を持ってきて3人の様子を見て肩を落とした。




臣「なんでそのこと知って…!」



??「おう!身分証があったから割と簡単に調べがついたぞ!!」



シュシュ「ホーミーはハッカーだからね〜。


でもでも、なんでそんな先輩の保証人になんてなったの??」



どうやら藤色の髪のその少年はホーミーというらしい。


臣「それは、その…俺が入学してからサークルで世話になってたすげー優しくていい先輩で困ってたから…助けになりたくて」

と臣は俯く


シュシュ「そっか〜。それは確かに助けたくなるかも」


うんうん、とシュシュは頷いた。




ロクロー「(いい先輩は後輩を闇金の保証人にしないでしょうし


自動車保険もちゃんと入ってると思うんですけど……まぁ、どう思うかは人それぞれだしいっか)


ところで彼のことどうするんです??


このままだとまた闇金に追いかけ回されて捕まって臓器持ってかれちゃいますよ??」



シュシュ「ふふん!


ロミオはこれからうちに勧誘します!」


ホーミー「おぉ!そりゃいいな!ナックの許可は??」



シュシュ「これからとる!」




ロクロー「まぁ、闇金に追われてる+肺の片方は行方不明ですから


シュシュさんのアイデアは彼にとっても悪くはないかと。



ちょうど痛み止めもできましたし。これ飲んで少し落ち着いたら皆さんを呼んできますね」



とロクローは薬を臣に渡した。

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