第5話 天賦の才
「それじゃあ、まずは坊主がどれだけ魔法を出せているか見せてくれ。得意な魔法を一つ撃ってみろ」
スヴァインの言葉に頷き、ルイスは手を前に出した。
「《うぉーたー》!」
そう唱えると、宙から水がだばだばと出てき始めた。
水魔法は家庭でもよく見かける魔法のため、小さい子が習得するのも何ら不思議ではない。当初はスヴァインもそう思っていた。だが、数秒後には異変を感じ取っていた。
(子供にしてはやけに長いな……?)
魔力管が未発達な子供は、魔法の持続時間が短い傾向にある。だと言うのにスヴァインの目の前にいる子供は既に大人と同じぐらい魔法を持続させているのだ。
「はぁ……はぁ……きょうは、げんかいまでだせました……」
どうですか?と聞いてくるルイスのことが、スヴァインにとっては初めて天才の卵のように見えた。
「坊主、まさか……」
驚きながら荷物を漁る。一つの可能性に思い至ったからだ。それを確認するためには、スヴァインが普段使わないものを取り出す必要があった。
魔力回復用ポーション、錬金術の産物だ。
実はこの魔力回復ポーションは魔力管持ちには効果が薄いという特徴がある。魔力を体内に留めておける量が少なく、回復した分があっという間に体外に排出されるからだ。恩恵を受けられるのは魔臓持ちだけだ。
「坊主、一度これを飲んでみろ。魔力回復ポーションだ。効果がなかったとしてと害はない」
ルイスは差し出されたポーションの瓶を受け取ってまじまじと見た。
(魔力回復ポーションなんてゲームの中のものだと思っていたけど、あるんだ……)
そう思いながら瓶のコルク栓を開け、中身を飲み干す。
「わぁ……体がぽかぽかする……!」
体の内側から温まるような感覚に、ルイスは驚いていた。
「よし、もう一度水魔法を撃ってみろ。さっきとまた変わっているかとしれないからな」
ルイスはスヴァインの言葉に頷き、再び魔法を放つ。
「《うぉーたー》!」
すると先ほどとは勢いが段違いの水がどばっと出てきたのだ。
「うわぁあ!?」
思わず尻もちをついたルイスに対して、スヴァインは大層嬉しそうに頭を撫でた。
「間違いねぇ!坊主、お前さんは魔臓もちだ!」
「へ?」
当の本人であるルイスは、理由がわからず気が抜けた声が出た。
魔力管を持つ者と魔臓を持つ者で子を成したとき、極稀に魔力管と魔臓の両方を兼ね備えた子が産まれるのだ。
魔法を操るために必要な魔力管、魔力を蓄えて留めておくために必要な魔臓、どちらも兼ね備えているということは魔法に対する天賦の才能があるということだ
極小の確率を勝ち取った教え子にスヴァインは歓喜した。
「坊主!お前さんは天運の神種に愛されたに違いねぇ!!こんな才覚が魔法に興味がある子に宿るなんてそう滅多にあることじゃねぇ!!お前さんは魔法に関することならなんだってなれる!新たな魔法を生み出すことも、魔法使いとして大成することもな!」
そこまで言われて、何となくルイスも何がなんたかわかってきた。
(もしかしてこれは……この世界におけるチート能力に近いものなんじゃ……!?魔力無限とまではいかないけど、それに近いような才能!この世界では得られたんだ!)
魔法のある世界で魔法の適性が高く生まれ落ち、それに前世の知識も活用できるとなれば色んなことができるはずである。
「いろいろおしえてください!もっといろんなまほうがつかえるようになりたいです!」
「良いぞ坊主!教えられることは全部教えるからな!」
そうまた撫でてくるスヴァインの手はとても暖かく感じたのだった。
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