第26話 後日談、Episodeカナボシ。3
「まったく、カナちゃんが自分で着ているのなら最初から言って」
「最初から話も聞かずに通報しようとしたやつがよく言う」
「私はカナちゃんが断れないことを知って、クさんが無理やり男のロマンである裸ワイシャツを着せたと思った〜」
「は、裸じゃありません!」
顔を赤らめた
確かに
「まあ、幸いだな。僕たちが全力で助けてくれた
「サイ弁お前まで私を疑うとは……」
「それより
その言葉と共にサイ弁は自分が買ってきた牛肉パックを取り出した。
それを見て
「何言ってんの!牛肉がおいしいのは初めてだけ!すぐに脂っこくなる。それならやっぱりサムギョプサルだね!丸ごとクリスピーに!」
「それ、ただSNSに出たのを真似したいだけだろう?」
「何?サイ弁」
「別に」
そうやって互いをにらみ合いながら、サイ弁と
このままでは決着がつかないことを
「は、はい?私ですか?」
不吉な視線を感知した
「
「何言ってるんだ!カナちゃんは私が買ってきたサムギョプサルを先に食べたいって言ってるけど?」
「わ、私はどちらにしても、その……」
大人たちの勧誘にどんな言葉が正解なのか分からず、
ドン!ドン!!
そんな年甲斐のない大人たちの頭に正義の鉄拳が下った。
自分たちの頭を包む
「パーティーの主役を困らせるな。そもそも両方出せばいいんだろ?」
その言葉と共に
「「いつの間に?!」」
「お前ら二人がまたどうでもいいことで喧嘩するから、あらかじめ準備しておいたんだ。それより、そこに持っているお肉も出せ。早くなくなりそうだから、すぐに作る」
そんな
「こうやって事前に焼かれたのもいいけど、やっぱり肉はすぐに焼いて、サンチュと一緒に食べたくなるんだよね〜」
「僕は服に臭いがつくのが嫌いだが。まあ、野菜は重要だから」
その言葉とともにサイ弁は
サムで包んだりはしない。手を使うのが嫌なのか、箸でつまんで噛んで食べるだけ。
「珍しくサイ弁と意見が合うね?」
「じゃあ、次はシャイニング・ロードの家で焼くか?僕たち三人の中で一番広いし」
「えぇ〜肉のにおいが付くから嫌だ。それよりその名前で呼ぶなって!」
食卓からはそんな
「まったく、相変らず子供だな……」
そんなことをつぶやきながら、
牛肉は焼きすぎると硬くなるので表面をバターで煮込み、溶けた牛の油とバターを表面にかけながら焼く。
ちなみにサムギョプサルは予め皮に切れ目を入れ、百八十度のオーブンに入れておく。
(確かに、ワタの言うとおり鉄板で焼く肉も魅力的だが食卓で焼くと煙がひどいからな)
反面、キッチンの換気口の下で焼けば煙の心配が少し減る。
(でもまあ、このワンルームは玄関のドアと窓を開けるだけで風通しが良い方だが)
しかし、食卓で焼くと必然的に焼くために食べるのが遅くなる。だから今日は食卓で焼くのは避けたかった。
(今日はカナさんが主役だから、お腹いっぱい食べてほしい)
「あの……
そんな中、後ろから声が聞こえてきた。
もう肉を食べ終わったのかと思っだが、そうではなかった。
「そ、そのワタさんが
両手でやや恥ずかしそうな顔で
どうやら
「あ、ああん〜ど、どうぞ」
そのまま
確かに、これは食べさせる以外に方法がない。ちょうど
「ああん」
そうやっておとなしく
「ど、どうですか?」
「うん、おいしい。でも、今日はカナちゃんが主役だからたくさん食べて」
「大丈夫です!
すたすたに歩いて食卓に行った
断ることができなかったので、
「これは、これは〜完全に新婚さんだね〜クさん、シャッターチャンス」
「どうやら
「揶揄うな、こら。カナさんが嫌がるから」
「い、いいえ!私はただ……
頬がトマトみたいに赤く沸き立つのに対し、丸くなるその青き瞳は猫のようだった。
カチッ!
またまえに聞いたのと同じような、そんなスイッチの音が聞こえてきた。
軈て
「かわいいぃぃぃぃぃっ〜!こんなのを愛らしいって言ってるんでしょ!?やっぱりうちに連れて行く!いいんだよね、クさん?ありがとう、そうするね!」
「しっかりしろ!シャイニング・ロード!」
すぐ後ろにいたサイ弁が
「ありがとう、サイ弁。お前がしていなかったら、持っていたフライパンでぶん殴ってるところだ」
「ひどいよ!クさん!」
「でもうちに入れるというのは冗談じゃないよ」
そんな
「やめろ、あんたたち!いったいこのワタ様を何だと思っているんだ?!」
「可愛い人なら性別、年齢を問わず狙うだめな
「そう、シャイニング・ロードはシャイニング・ロードであるだけ」
「それはそうだけど、今はそんなプライベートじゃない!」
二人の厳しい言葉に
「カナちゃんは女の子だよ?それもこんなに愛らしい」
その言葉に
「なのに、クさんのようなおじさんと一緒に暮らしてカナちゃん本人は大丈夫なのかと思って。ちょうど契約書も書いたから、クさんの負担も減らす兼、私が引き受けてもいいんじゃないかな……みたいな」
「……サイ弁、私の聴覚が間違っているのか?ワタがもっともらしいことをしゃべっているが?」
「月に一度の割合でシャイニング・ロードは正しいことを言う。今日を記録しておかないと。来月までざれ言ばかり言うから」
「あんたたち〜!」
口ではからかう二人だが、
今日だけでもお風呂とか気を使わなければならないことが多いと
「そんな所は同じ美少女の私ならカナちゃんもあまり気にする必要がないってことだよ」
「同じ美少女?ワタ、お前が?」
「美はおろか、少女ですらないんじゃないか?」
ドン!ドン!!
二人の男の頭の上では、こぶとともにもくもくと湯気が上がっていた。
「もちろん、クさんが言った通りカナちゃんが一番望むことを行うのがベスト。私が言ったのはクさんと同じ」
選択肢を与えるだけ。
「私が引っ張っていけば強制することになるから」
(こいつ意外と考えてるな?)
そんな思いと共に
「まあ……ワタとカナさんがそれに納得するなら、私に兎や角する権利がない」
「それで、カナちゃんはどっちがいい?もし異性のクさんが気まずかったら――」
「ぜんぜん気まずくないんです」
即答。ほぼ同時といっていいほど、
早すぎる
「カナさん、そんなに私の顔色をうかがう必要はない。こんなおじさんの私よりはワタと過ごした方がいいかもしれないし、何よりさっき言ったようにカナさんが一番望む――」
「私は
その言葉に
そんな……深い海の中のみたい瞳は重ねて言う。
「
「……」
これ以上言っだら泣かしそうだ。ほぼ確実に。
それを直感した
「ワタ、この話はここまでにしよう。肉がまずくなる」
「そうだね。部外者が勝手にするほど、迷惑もない……から」
そうやって
ところが、断られた人にしては大変喜んでいるような顔だった。
。。。
。。
。
「たち悪いな、シャイニング・ロード」
退院パーティーを終えて帰る途中、サイ弁は
「本当は連れて行く気もないくせに、あえて
尋問に近いその指摘に
「いや〜初めて見た時に知ったんだよ」
「何を?」
「ああこの子。本当にクさんのことが好きなんだね、と」
落ち着いた声を吐き出しながら
まるで悪戯する足げり。しかし、戦力を盛り込んだ足げりだった。
「それにカナちゃんが同意したら連れて行く気もあっだよ。あの子、私と同類だから」
「お前と
その言葉に
「チッ!」
「それで、どこが
「あ、それはね――」
一瞬、
「美少女の秘密だよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます