第9話 自分の腕に傷を負いながらも2
「ただの栄養失調です。栄養剤を注射したので、起きればキャットフードを食べる程度は回復するでしょう」
獣医のその言葉に
「変なものを食べなかったのも不幸中の幸いです」
「はい。おなかがすきすぎて、生ごみや……ひどいと土を食うこともありますから」
「そんなこともありましたね……それより
この状況に慣れているという顔で獣医が笑いながら話すと、ジェンは苦笑いをしながら言う。
「……他に拾ってくれる人がいなかったので、私が拾っただけです」
「まだまだ……それより少し、宜しいでしょうか?」
その言葉と共に獣医は
そんな大人たちの話に割り込むことができないまま、
「ただの栄養失調……」
数日前の自分と重ねて見なかった――と言ったら嘘であろう。
あの猫を見て
現在、
だから、助けが必要な猫を見て
それに対して
「
「まるでどこかのヒーローみたいでしょ?」
突然のその声に
漸く体力が回復したのか、
「クさんが猫を拾ったの、今回が初めてじゃない。私が知る限りこれで――」
「これで三回目、でしょう?」
「そうだね、カナちゃんも見える側だったよね?」
その言葉とともに、
ドアについた窓には、さっき猫に引っかかれた腕に消毒薬を塗っている
しかし、その二人が見ているのは彼の肩。
「最初に拾った子は生ごみを食べ過ぎてね。食べて吐くことを繰り返していた子をクさんが拾った。長くても十日ぐらいしか持たないと言っていたのが、クさんが猫の胃に負担をかけないように作ってくれたものを食べながら、三か月ぐらい持ちこたえた」
「……」
「二番目に拾った子は土を食べたらしい。誰かに食べさせたんじゃなく、自分がお腹すいてね。キャットフードを食べないことから見ると、人間が与えたものにトラウマがあるからだとクさんが推測した。それでもクさんは諦めず、ちゃんとご飯を用意してくれたよ。まあ、あの子も半年くらいだったけどね」
「……」
淡々と話す
二人の視線はまだ
「普段はクさんについた雑魚は私が追い出してきたが、あの子たちはできなかった。でもくっつきすぎると血を吸ったヒルのように大きくなるからね」
その言葉に
「そうならないため、クさんにあの子たちの嫌がる香りを定期的につけておくけど」
「ああ!それでこの前に
――ううん……まあ、すぐに治るだろう――
――だ、だめです!そのままにしておくと、あいつらが血に反応して!――
あの猫の幽霊たちは
「いや、そもそもそれはクさんが儀式の途中で逃げたからだよ!その日の朝、私が仕上げるまで待っていたら引っかかれるレベルにはならなかったのに。まったく、クさんはこちの気持ちも知らなくて……」
あの時のことを思い出したのか
「まあ、その傷もだれかさんがくれた絆創膏で治ったらしいから」
「いいえ。私は大した事は……」
恥ずかしそうに
「ちなみにあの豚猫たち、どんな顔してる?私はシルエットしか見えないから表情は分からないんでさ」
「あの小猫を……心配そうな顔をしています」
「……そうなんだ」
何か満足そうな顔で
。。。
。。
。
軈て獣医との相談が終わったのか
「突然だが、この猫は私が預かることにした」
「ちなみに名前は
「……」
「……」
それは予想できなかったのか、
「ワタさん、一番目と二番目の名前はもしかして……」
「
「ひどいです……こんなの、あんまりです」
「それより心配そうな顔をしていたこと、あの名前のせいじゃないの?」
そうやってこそこそ会議した結果、
「却下だ」
「却下です」
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