苦尽甘来〜JCを拾ってしまった件〜
サンジン
第0話 良かったらうち来る?
時代遅れのナンパ、あるいはだめな口説き文句だ。
もし小説の最初の文章をこのような文句で始めるなら、すぐに本を閉じただろう――と
「……」
――この日はひときわ春雨が激しく降る日だった。
通り過ぎる人々が送る視線などは無視して、雨を一身に受けていた白髪の青年、
「……」
学用品のハサミで適当に切ったような茶色の髪に星型の髪飾り、そして着ている患者服と、異国的な青い瞳が目立つ中学生の少女。
「君は見るたびに倒れてるね」
「……」
「さあ、手握ってやるから立ちな」
何よりも答えをしなかったというよりは目の前に
「……」
ただ
傘で視線も見えない通行人たちの雨水混じりの靴音だけが、二人の間を寂しく、無心に通り過ぎる。
その顔を見て
これは捨てられた人間の顔だ。と――
「ふむ……」
そんな小さなため息と共に、
とっくに忘れていた、しかし確かに存在した昔の日記を見る表情で
「良かったらうち来る?」
時代遅れのナンパ、あるいはだめな口説き文句だと思われるかも知らないが、残念ながらこれはこの青年、
「……うん」
この少女、
◆この物語はフィクションです◆
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