近所のメスガキが煽っては勝手にわからされてる

キリ

第1話 通学路



「あれれ〜?今日は、死んだ魚の目に一段と磨きがかかってるね。お兄さ〜ん!」

「それは、褒めてるのか?」



 俺の名前は、富田亜蓮とみだあれん

 俺は、大学に入ったと同時に、一人暮らしを始めた。安いアパートだが、不自由なく暮らせている。

 


「褒める〜?きゃはは!愛菜が、お兄さんを褒めると思う〜?」


 

 俺の前で、喋る彼女は、佐々木愛菜ささきあいな。俺の住むアパートの近くに住んでいる。何故かは分からないが、俺は彼女にいつも煽られる。

 

「ねぇ、聞いてるお兄さん?」

「あぁ……すまん。少し考えごとをな」


 ただ、嫌われているのかと、聞かれれば違うと言える。『好きの裏側は無関心』と言うし、いつも通学中に喋りかけてくる。

 本当に嫌いなら、こんな普通の大学生に、わざわざ喋りかけてこないだろう。


「え〜もしかして〜。愛菜の可愛さに見惚れちゃった〜?もう、お兄さんったら〜」

「え?まぁ、可愛いとは思うぞ」

「へっ?!か、かかかわいい……///」


 

 見惚れてた訳じゃないんだけど、実際とても可愛いと思う。胸は中学生とは、思えないほど発達していて、可愛げがない大きさをしてるけど。

 

 ふと、俺もこんだけ顔が整ってれば、自己肯定感も高くなっただろうな


「ふ、ふん…///褒めたからって、愛菜が何かするとか思った?!この変態!」


 なんか変な誤解を受けていないか?

 

「いや、そんなつもりは……お世辞じゃなくて、本当に可愛いって思ってるぞ」

「っ……///う、うるさい!うるさい!言い訳しても無駄だもん!それなら、警察はいらないんだもん!」


 彼女はそう言って、何故か手で顔を隠すと、あらぬ方向に突っ走っていった。

 

 あの反応を見ると、嫌われてないと思ってただけで、本当は嫌われているのかなぁ……

 

「はぁ……」


 俺はため息をつくと、いつもより少し重い足取りで、大学に向かった。





〜〜通学路〜〜




「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!」


 私は、耐えきれない恥ずかしさをお姉ちゃん・・・・・にぶつける。


『それで──せっかく褒めてもらえたのに、恥ずかしくて逃げちゃったと……』

「うっ……」

『なんかテンプレすぎるツンデレで、聞いてるだけで、胸焼けがしてくるんだけど……』

「だ、だって、あいつがいきなり……カワイイとか、言ってくるんだもん!」

『あんたがウブ過ぎるのもあるけど、確かにあんたの好きな人も──』

「別に好きじゃないから!!!」

『………素直になれば、気持ちも届くんじゃない?』

「……」

『じゃあ、私も大学だから切るわよ。あんたも学校でしょ?』

『え?あっ、そうだ!ま、またね。お姉ちゃん』

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