第14話 いっぱい食べる女の子、よくないですか?④


 たにやを出て溝間さんと別れた後。

 私は一人暮らしをしている自宅に戻るなり悶絶していた。


「あぁあああああ‼ やってしまった‼ 溝間さんの前で夜勤明けの考えてない頭で言いたいこと言っちゃったぁ‼ しかもお腹だけは滅茶苦茶減ってたからご飯お代わりまでしちゃったし‼ 絶対食い意地の張った女だと思われたよ‼ 何より! 何勝手に次の約束取り付けてんだ‼ どう考えてもその気じゃん‼ 清さんにまだ隠しておく的なこと言ってたじゃん‼ 溝間さん若干引いてたし‼ なんでこいつこんなぐいぐい来るんだって顔してたぁ‼ 私明日からどんな顔して溝間さんに会えば良いのよ⁉ 本当最低‼ 信じらんない‼ 何してんだ何してんだ私は‼ あぁ‼ 戻りたい‼ 一時間くらい前に戻りたい‼ 戻って自分の頭を引っぱたきたい‼」


 私はスーツを脱ぎ散らかして5分ほどベッドの上で悶えながらそのまま眠りについた。次こそは考えることができる頭のまま、具体的には日勤か休みの日にフレンチのお店に臨みたい。欲を言うなら二人きりで。

 そんな考えても無駄な夢想を描きながら、私の意識は深く暗い底へと導かれていった。

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