第9話

カレンside


あれから二時間ほど経過した。すでに数千体の魔物を倒しただろう。しかし、魔物の能力を見極めることが出来なかった。

魔力は5割ほど残っている。雪姫さんから増援の魔法少女が到着したので、合流地点に向かってほしいと連絡があった。


(なんだろう、この違和感。このままだと取り返しのつかないことになりそう)


ここにいる魔物を討伐しきって合流地点を目指すために、移動を開始しようとしたときに奴が現れた。

ゆっくりと私に向かって歩いてくる。四本腕の猿の魔物を従えて。奴は大量の魔力を放ち、トパーズを威嚇するように歩いている。


(何⁈この圧力。こいつヤバい)


距離を保つために、自然と後ずさる。


(背を向けたらやられる)


足の震えが止まらず、冷や汗がたまらない。戦闘が起きていないのに、疲労がたまっていく。奴が一歩踏み込むと起こる圧力は、

これまで経験したことのないものだった。


(これが今回のスタンピーダ原因で、違和感の正体か)


攻撃を仕掛けようにも隙が見当たらない。奴から目を離せばやられると分かっているから、通信用のデバイスを取り出し連絡が取れない。今すぐに振動しているデバイスを取り出して、連絡をしたところだ。しかし、その隙を与えた瞬間に奴は襲ってだろう。

後退し続けること10分、ついに奴が動き出した。

奴は立ち上がり両腕を振り下ろした。そこから飛び出した針がトパーズを襲う。面での攻撃を防ぐために


『リフレクター・ディスチャージ』


結界を展開し針を受け止めようしたが、針が結界をすり抜けた。


「まず!!」


とっさに後退し、魔力を放出し体を覆う。魔力を覆たため、針が体を貫くことはなった。


(結界をすり抜けた!!いったい何がおきたの?)


間髪を入れずに4本腕の猿の魔物が動き出す。連携を取り、爪によるひっかきをかわせないようにしてくる。

一体目の爪を結界で防ぐが、後方から来た二体目の爪が肩めがけて振り下ろされる。周囲に雷を発生させ、振り下ろされた腕に直撃し軌道を変える。三体目が上空から降ってくる。後方にいる二体目を


『サンダーライジング』


雷で貫き後方に退避する。三体目が地面に着地すると、そこにクレーターができる。


(あぶなかった。ってまた!!)


息をつく間もなく、奴から針が来ていた。倒れていた木が近くにあったので、そこに隠れてやり過ごす。針は木を貫くことはなかったが、木の表面はえぐれていた。


(直撃したら危なかった、って今度は四つ手⁈)


四体が並んでトパーズに向かってくる。背後からの攻撃はないが、合計で16本ある腕による攻撃は簡単にかわせるものではい。そして、その後ろから、四つ手を巻き込む針の攻撃が来る。

トパーズは何とか針の攻撃を結界で防ぐことが出来たが、肩で息をし魔力残量が2割を切った。


『ライトニング・スピア』


反撃の魔法はむなしく四つ手の体をすり抜けて、霧散していく。それに驚いた隙をつかれ、背後からの衝撃を受ける。


「くっ……」


声にならない息が漏れた感じの音出し、吹き飛ばされた。


(ここまでなの?ごめん朱音、私約束を……)


トパーズは覚悟を決め、最後の一手を選択する。


『ライトニング・ビックバン・ノヴァ』


残り魔力をつぎ込んで周囲を雷と岩で覆い、岩が砕ける散る際に出る破片と雷を周囲にばらまき、半径100メートル内にいる魔物にダメージを与える魔法を使う。すり抜けていた攻撃は何とか当たり四つ手のは全部倒れていたが、奴はまだピンピンしていた。


「ここまでかな。後は任せましたよ、ダイヤモンド」


「ええ、任せなさい」

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