エピローグ

「それで、きみ。この新作はどれくらい売れたんだい?」

 昼下がりの午後。事務所の応接スペースで、遊間は穏やかな声で尋ねた。

「それが、前作同様、あまり売れていないみたいで……」

 魔門は背を丸めながら答えた。

「まぁ、は、散々使いまわされてきたネタだしなぁ。

 だが、物語の構成やトリックのひねりは、前作より良くなっているのではないか?」

「本当ですか?!」

 滅多に聞くことのできない遊間からの賛辞に、魔門は思わず小躍りする。

「しかし、相変わらず、この主人公はいけ好かないな。

 普段は上から目線で他人を小馬鹿にするような態度を取るくせに、いざ物事がうまく進まなくなると、勝手にいじけて周りに迷惑をかける。その様子が実に大人げない」

 ――それは、同族嫌悪という奴では……。

 という台詞が喉元まで出かかったが、魔門はそれをぐっと堪えた。

「だが、まぁ……そういった弱みも、きっとこのキャラクターの魅力……なのかもしれないな」

 遊間は顔を赤らめながら続けた。

「遊間さん……」

 見つめ合う二人の横から、三上が遠慮がちに声をかける。

「あー、いちゃついているところ申し訳ないのだが……」

「『いちゃついてなんかいない』です」

 遊間と魔門の台詞が見事に同調シンクロする。

 声のした方向へ二人が振り向くと、三上と咲良が呆れた顔を浮かべながら、事務所の入り口で立っていた。

「三上刑事と咲良刑事。今日はどんなご用件で?」

 魔門は二人を来客用のソファに案内すると、紅茶を汲みにキッチンへと移動する。

 ソファに座った三上は、真面目な顔をして口を開く。

「実は、先月T**大学で発生した教授失踪事件に魔術師関与の疑いが浮上してきてな。

 それで、今回もお前に力を貸してもらいたいんだ」

「魔術師の関与が疑われる教授失踪事件か。面白い」

 三上が依頼について説明すると、遊間は不敵な笑みを浮かべる。

「良いだろう! その事件、この僕、遊間大が悪魔的な頭脳を持って華麗に解決してみせよう!」

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