第46話 柳生石舟斎宗厳

 佐々木武蔵は図書館で柳生石舟斎宗厳について調べていた。

 

 柳生石舟斎宗厳やぎゅうせきしゅうさいみねよしは、戦国時代から江戸時代初期にかけて生きた剣豪であり、柳生新陰流の創始者として歴史に名を刻んでいます。

出自と若年期

* 宗厳は、大和国柳生庄(現在の奈良県奈良市柳生町)の土豪、柳生家厳やぎゅういえよしの嫡男として生まれました。

* 幼少の頃より武芸に秀で、諸流の剣術を学びました。

剣術の修行と新陰流の創始

* 上泉信綱かみいずみのぶつなに師事し、新陰流の奥義を極めました。

* 上泉信綱から受け継いだ新陰流を基盤とし、独自の剣術理論を確立し、柳生新陰流を創始しました。

* 「活人剣」という、相手を殺傷するだけでなく、生かすことを目的とした剣術を説いたことで知られています。

 戦国武将としての活動と徳川家との関わり

* 筒井氏に仕え、武将として戦場を経験しました。

* 後に、徳川家康に剣術を披露し、その才能を高く評価されました。

* 文禄3年(1594年)徳川家康に謁見し、兵法師範として仕えるよう請われたが辞し、宗矩を推挙しました。

* 関ヶ原の戦いでは、宗矩を従軍させ、自らも下野国小山へ赴きました。

晩年

* 晩年は石舟斎と号し、柳生谷に隠棲しました。

* 慶長11年(1606年)に没しました。

人物像と後世への影響

* 宗厳は、卓越した剣術の達人であるとともに、武士としての精神性を追求した人物として知られています。

* 彼の創始した柳生新陰流は、江戸時代を通じて多くの剣術家に影響を与え、現代においてもその精神は受け継がれています。


 柳生石舟斎宗厳、その剣技は地上にとどまらず、ついに天界へと至った。しかし、天界の平和な光景は、石舟斎の闘争本能を刺激するのみであった。

「ふん、神々ときたか。この石舟斎に、剣を交える相手はいないのか」

 石舟斎は、そう呟きながら、天界を歩き始めた。その異様な雰囲気に、神々は警戒心を抱き、彼を遠巻きに見つめる。しかし、石舟斎は、そんな視線を気にも留めず、ただひたすらに、己の剣を研ぎ澄ませていた。

 やがて、一人の神が、石舟斎の前に現れた。

「そなた、何者だ。天界で騒ぎを起こすのは、許されぬ」

 神は、厳かな口調で石舟斎に告げる。しかし、石舟斎は、神の言葉に耳を貸さず、ただ、その姿をじっと見つめる。

「貴様、剣を振るわぬのか。ならば、我輩が相手をしてやろう」

 石舟斎は、そう言い放つと、神に向かって走り出した。神は、石舟斎のあまりの速さに、反応が遅れた。石舟斎の剣が、神の体を捉える。

「ぐっ!」

 神は、苦悶の表情を浮かべ、膝をついた。石舟斎の剣は、神の体を深く切り裂いていた。

「ふん、つまらぬ。神とは言え、その程度か」

 石舟斎は、そう言い放つと、倒れた神に背を向け、再び歩き出した。その背後で、神は、光の粒子となって消滅した。

 石舟斎の行動は、天界に激震を走らせた。神々は、石舟斎を討伐するため、次々と彼の前に現れる。しかし、石舟斎の剣は、神々の攻撃をいとも容易くかわし、その体を切り裂いていく。

「神々よ、貴様らの力は、その程度か!我輩の剣に、ひれ伏すがいい!」

 石舟斎は、そう叫びながら、神々を次々と斬り伏せていく。その姿は、まさに鬼神であった。

 神々の血を浴び、石舟斎の体は、異様な光を放ち始めた。彼の体から、黒い瘴気が溢れ出し、その姿は、徐々に変化していく。

「ぐおおおおおお!」

 石舟斎は、咆哮を上げ、その姿を大きく変貌させた。彼の体は、巨大化し、いくつもの腕が生え、頭には、二本の角が生えた。その姿は、まさに鬼神そのものであった。

 鬼神と化した石舟斎は、天界を破壊し始めた。彼の力は、神々を遥かに凌駕し、天界の秩序を破壊していく。

「神々よ、我輩こそが、新たな天界の王だ!逆らう者は、全て滅ぼしてくれる!」

 石舟斎は、そう宣言し、その圧倒的な力で、天界を支配していく。

 天界は、鬼神と化した石舟斎によって、地獄と化した。神々は、その圧倒的な力の前にひれ伏し、石舟斎を新たな王として崇め奉る。

 こうして、石舟斎は、天界を支配する鬼神となった。彼の伝説は、天界に永遠に語り継がれるだろう。


 柳生石舟斎宗厳は、齢八十を超えてなお、剣の冴えを失っていなかった。むしろ、その剣技は、長年の研鑽によって、より円熟味を増していた。彼は、孤独を愛し、己の剣のみを友とする、孤高の剣豪であった。

 そんな石舟斎が、なぜ「おひとり様の世界」に現れたのか。それは、彼が、この世界に蔓延する「甘ったるい空気」に耐えられなかったからである。恋人たちが互いに寄り添い、愛を囁き合う光景は、石舟斎にとって、耐え難いものであった。

「ふん、愚かな。愛などというものは、脆く、儚いもの。剣こそが、真の友であり、己を裏切らぬ唯一の存在よ」

 石舟斎は、そう呟きながら、街を歩き始めた。彼の鋭い眼光は、獲物を探す獣のように、周囲のカップルたちを捉えていた。そして、彼は、ついに最初の獲物を見つけた。

 公園のベンチで、仲睦まじく寄り添う若いカップル。彼らは、互いに見つめ合い、愛を囁き合っていた。石舟斎は、静かに近づき、二人の背後に立った。

「邪魔だ」

 石舟斎は、低い声でそう言い放つと、二人の間に割って入った。突然のことに、カップルは驚き、戸惑いを隠せない。

「な、なんなんですか、あなた!」

 若い男が、石舟斎に詰め寄ろうとする。しかし、石舟斎は、微動だにしない。彼の纏う、圧倒的な威圧感に、男は足を止めた。

「貴様らの、その甘ったるい空気が、我慢ならぬ。消えよ」

 石舟斎は、そう言い放つと、腰の刀に手をかけた。その瞬間、カップルは、恐怖のあまり、悲鳴を上げた。

「ひぃ!」

 石舟斎は、刀を抜き放ち、二人に斬りかかろうとする。しかし、その時、一人の男が、石舟斎の前に立ちはだかった。

「そこまでだ、石舟斎」

 男は、武蔵であった。彼は、石舟斎の殺気に気づき、カップルを助けるために駆けつけたのだ。

「武蔵か。貴様も、この甘ったるい空気に当てられたか」

 石舟斎は、武蔵に問いかける。

「違う。俺は、ただ、お前さんのやり方が気に入らないだけだ」

 武蔵は、静かに答える。

「ならば、邪魔をするな。これは、我輩の道楽だ」

石舟斎は、そう言い放つと、再び刀を構える。

「道楽だと?人の命を奪うことを、道楽などと」

武蔵は、怒りを露わにする。

「命?そのようなものは、儚いもの。すぐに散る。だが、剣は違う。剣は、永遠だ」

 石舟斎は、そう言い放つと、武蔵に斬りかかった。

 二人の剣が、激しくぶつかり合う。石舟斎の剣は、重く、鋭く、武蔵を圧倒する。しかし、武蔵もまた、石舟斎の攻撃を凌ぎ、反撃の機会を窺っていた。

「お前さんの剣は、確かに強い。だが、その剣は、人を傷つけるためだけの剣だ」

 武蔵は、石舟斎に言い放つ。

「何を言うか。剣は、人を斬るためにある。それ以外に、何がある」

 石舟斎は、武蔵の言葉を嘲笑う。

「違う。剣は、人を守るためにこそ、あるんだ」

武蔵は、そう言い放つと、渾身の力を込めて、石舟斎の剣を受け止めた。そして、その勢いのまま、石舟斎の体勢を崩し、彼を地面に叩きつけた。

 石舟斎は、地面に倒れながらも、なおも立ち上がろうとする。しかし、武蔵は、彼の胸に刀を突きつけ、動きを封じた。

「もう、やめるんだ、石舟斎。お前さんの剣は、もう、人を救うことはできない」

 武蔵は、静かに告げる。石舟斎は、しばらくの間、沈黙した後、ゆっくりと刀を収めた。

「…わかった。我輩の負けだ」

 石舟斎は、そう言い残すと、静かにその場を後にした。

 武蔵は、カップルに声をかけ、彼らの無事を確認した。カップルは、武蔵に感謝の言葉を述べ、その場を後にした。

 武蔵は、石舟斎の去った方向を見つめ、静かに呟いた。

「…石舟斎。お前さんは、孤独を愛しすぎた。だが、人は、一人では生きていけない。いつか、お前さんも、そのことに気づくだろう」

 武蔵は、そう呟くと、再び一人、旅を続けた。彼の心には、石舟斎との戦いの余韻が残っていた。

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