第4話 ランクSSS同士の戦い
対戦相手が発表される日。
8時になり、その対戦相手を見た。
対戦相手は、
ランクSSS。
この渡邉透という人間は、爆発物の研究をしていて、国からも危険視されている存在って聞いたことがある。
しかし、当の本人自体は犯罪を犯してはいないし、実力もかなり高いため処罰を受けさせることが難しいらしい。
爆発物が好きなら、爆発物を操る能力とかでも持っているのかな。
答えは当日にならないと分からないため、思考を中断させ対戦日のために備えるのだった。
──
私たちがやってきた対戦場所は、異空間。
その場所は、果てしなく続いており終わりが見えない。
「それでは、始めてください」
突如として発せられたAIの声が響いた瞬間、戦いの火蓋が切られた
と言っても対戦相手の透は様子を伺っているのか、動かない。
「そっちがこないなら、私から行くわよ!」
私は、常識を逸した速さで相手の元へ接近し、その拳を当てる。
私の能力を応用することにより、人間を超越した速さで走ることができる。
しかし相手もランクSSSなだけか、その攻撃を難なく避ける。
「身体能力を向上させる系ではなさそうだな」
ようやく口を開いたかと思えばニヤッと笑い……。
「チェックメイトだ」
刹那、対戦相手がパチンと指を鳴らすと、私は爆発して──!?
──
しかし、いくら待っても私が爆発することがなかった。
「えっ!? なんで……だ」
ついさっき爆発したような感じがして、一回死んでしまったっていうことが簡単にわかる。
私もよく理解していないが、おそらく能力が助けてくれたのだろう。
「さっきので理解したけれど、あなたの能力って『触れたものを爆破させる能力』じゃないの?」
私がそう述べると、驚きの表情を浮かべながらも悔しそうに言った。
「ああ、そうだよ。本来はあれで死ぬからな。能力がバレることなんてまずないんだ。だがな──」
すると、そいつは私の背後に立っていて!?
「身体能力を上昇させる能力者よりも更に高い身体能力を持っているんだよ!」
ああ、そうなのね。
私は、能力を応用させて力を高めている。
スピードを上げている。
しかし、この男は自身の実力のみでこの強さを発揮している。
おそらく、無能力者だったとしても能力者に勝てていたのかもしれない。
そう思わせるほどの実力を持ちあわせた人間だった。
私はその攻撃を回避すると今思い出した。
さっきは、なんとかなったがこいつに触れられることは爆発させられるのと同義なのだ。
そして、その魔の手から必死に回避する。
「ちっ!?なんで、掠りもしないんだ!」
その理由を教えるわけもなく何も答えない。
この攻撃を回避できているのも全部能力のおかげ。
だから、もし能力というものがなかったら、『最強』な相手だった。
だけど、私との相性が悪すぎた。
能力を発動すれば、その攻撃を意図も容易く避けることができる。
しかし、私自身がそう思った瞬間のみに発揮されるため、まだ最強とまでは言えない能力だ。
すると、彼はポケットからナイフを取り出して──。
「このナイフに触れた場合、俺自身を除いて爆破するんだ。俺のナイフ版だな。これに触れないでおれるか?」
そこからは、長期戦だった。
避けては、攻撃をしようとしても相手も避けられるの繰り返し、終わらないと判断した私はその技を発動するのだった。
「くそっ!なんだ!急に能力がつかなくなった」
そうだ。
能力も厄介なら、その能力を消せばいい。
しかし、私の能力の都合上消すことは不可能なため、一時的に無効化すると言った方が正しいかもしれない。
これなら、なんとか勝てるはずだ!
そうして一気に攻め込み、その戦いは私の勝利ということで幕が下ろされるのだった。
──
「……負けたよ。ところで、どんな能力を持っているんだい?」
さっき、重い一撃を入れたはずだったが、1,2分したら体力が回復しているようだった。
「私が能力を教えるメリットがどこにもない。だから、いう必要はないでしょ?」
「なっとくだ」
透は、深々と頷く。
「でも、俺が予想するなら……。反転じゃないか?さっきの戦闘で感じていたけど全て逆にさせた気がするからな。まあ、俺の勝手な予想に過ぎないんだが……」
そうして、透は手を振りながらその場を去っていくのだった。
──
そうして、僕はいつものように公園に来ていた。
もはやこの行動が日課になっているまででもある。
月を眺めることにより心が安らぐのだ。
そういえば、この場所で能力を覚醒させたんだよな。
あれから、結局誰にも言ってなかったな。
それと、奏音も能力を人に教えるのはデメリットでしかないとも言われたしな。
これは、最終手段として取っておこう。
そういや、みんな勝つことができたんだろうか?
適当なことを考えているうちに気付けば30分ぐらい経過していた。
もうそろそろ帰らないとな。
そうして、ゆっくりと立ち上がった。
……ん?後ろに誰かいるのか?
そう思い、後ろを振り向くが誰もいない。
なんだ気のせいか。
それじゃ、さっさと帰るとするか。
そう思った、まさにその瞬間──。
「大人しくしろよ?」
突如として聞こえたその声と同時に意識がパタリと途絶えるのだった。
──
気付けば、僕は身体中を縄で締めくくられていた。
「ここは──どこだ?」
意識が朦朧とする中、あたりを見渡す。
すると、目の前にいかにも強そうな屈強な男が立っていた。
「兄貴、こいつです。俺を虐めてきたのは……」
えっ?
その声の主は、この前僕が撃退した人物だった。
いきなりことに唖然としたが、そいつの話をいて瞬時に理解する。
僕が加害者という設定で拉致られた。
そういうことになる。
珍しく推理が上手く行ったことに自分でも驚くが、それに喜んでいる暇はなさそうだった。
よくやく、意識がはっきりして目を完全に開く。
「お前か? 弟のことを虐めたのは?」
殺気と圧がこもったその言葉に怖気付くが、そこで怯えてもなんの意味もないことを悟る。
「いいや? 虐めてなんかいない。そいつが嘘をついているだけなんじゃないか?」
平気を装いながら、そいつを見つめる。
「まあいい。弟が嫌な思いをしたならその根源を叩きのめす。それが、兄貴としての勤めだ」
なるほど、この前の能力者は今目の前にいる能力者の弟か。
能力者が無能力者かを問わずとも、圧で能力者だと分かった。
そこから、僕は殴られた。
殴られ続けた。
ロープで縛られている状況じゃ、ろくに動くこともできずに殴られ続ける。
以前、突発的に発動した能力をもう一度使えれば、状況を打破できるかもしれない
けど、能力を使えるのかすら分からない。
発動条件がわからないから。
無駄な動きをしてはいけない今にとって、そんなリスクのある行動を取ることはできなかった。
だから、そいつが疲れ切るまで耐え続けるしかなかった。
そして、殴られて……殴られて……散々殴られた。
これ以上殴られては死の可能性も感じ、一か八かにかけるしかなくなってしまった。
その能力者はまだヘラヘラとしている。
もしかしたら、そういう系の能力なのかもしれない。
能力が何なのか、そして発動条件はどのようなものなのかを僕は知らない。
でも、なんとしてでも能力を発動しないと死ぬ予感がした。
このロープを引きちぎって、圧倒する想像を頭の中で繰り広げる。
前回は、頭の中で理想を浮かべたら実現した。
そう思った次の瞬間──。
先程までびくともしなかったロープが、いとも容易く砕け散った。
「なっ!?」
そいつは、俺がロープを壊したことに困惑を隠せない。
また……か。
俺はその状況を認識して、その言葉を呟く。
「だっ、だが、その状態じゃもうろくに戦えない。ここで、お前は死ね!」
俺はその男に向き直って、口元に笑みを浮かべる。
「逆にお前……もう死んでるぞ?」
冷静に冷酷に冷徹にそう発するのだった。
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