窮蛇、竜を喰らう

素足

プロローグ


 竜は神の使い。鋼の鎧のようなウロコを全身に纏い雄大な翼をひろげて羽ばたく姿は、見る者を魅了する。畏れらながらも敬われる、崇高なる強者の象徴。


 蛇は悪魔の遣い。地を這い、ずる賢く獲物を狙う。起源を同じくしながら空を統べる遥か天上の存在を地上から眺めることしかできない矮小な存在。対比され忌避される、祟低なる弱者の象徴。


 だが。歴史上唯一、蛇でありながら多くの竜を喰らい、一度は世界を滅ぼしたとまでいわれた存在がいた。

 蛇にして蛇にあらず。元は何の変哲もないただの小さな白蛇だったという、


その蛇の名はディワルディア。


 かつて竜を喰らい星を喰らおうとした蛇の逸話は、竜信仰が根付く国、レイヴァース王国ではおとぎ話として形を変えて、現代まで語り継がれているという。


『竜とて蛇の尾を踏むべからず』と。

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