②
「黙りなさい!!なんて品性に欠けた男性なの!!!」
更に真っ赤になって、握りしめた封筒で僕の肩を叩いてきた。
どの口がおっしゃってるんですか笑
「僕はなんてご無礼を!申し訳ございません!その様子だと、ご子息様の写真だったんですね!!」
「だから!!黙りなさいと言っているでしょう!!ここから去りなさい!!今すぐに!!」
「いえ、僕は見過ごせません!!警察を呼びましょう!こんな悪質なイタズラは、見逃すべきではないです!」
「けっ警察ですって?結構よ!二度とうちに近寄らないで!!」
蓮沼美智子は小声だけど強い口調でそう残すと、バンっと扉を閉めて姿を消した。
僕は口元を押さえて、笑うのをこらえると足早にその場を後にした。
「これで終わるなんて思わないでよ」
と独り言を残して。
翌日には、ちゃんと夜に彼を待ち構えてあげた。
全く、僕は暇人ではないから仕事を早く切り上げるのに少し苦労したよ。
「やあ、蓮沼さんの元ご主人。元気にしてる?」
僕は笑顔で、実家に帰ってきた元旦那にそう声をかけた。
「は…?なんであんたがここに!!」
母親は赤くなったけど、息子は青くなるんだね。
親子でカラフルで可愛いじゃないか。
「君さあ、自分の有責で離婚したことを母親にちゃんと言ってないみたいだね?」
「そんなこと、あんたには関係ないだろ!!」
「そうだね…僕はただの上司だから、蓮沼さん…あっ離婚したから今は久ヶ原さんか。久ヶ原愛子さんと、元旦那の君とのことは関係ないのかもしれない…でもね…」
「なんだよ!?」
「この前、婚約したんだよねぇ」
僕は薬指を見せつけた。
「はぁ!?」
「これからは家族になるわけで…関係してくるんだよ。だから、ちゃんと君の母親に言ってくれないかなあ?真実を。まなちゃんに変なことを吹き込むのはやめてほしいんだよね。」
「愛子が…結婚…」
ほんとこう、どうしてロミオになる奴って自分に都合いいのかなあ。
やり直せるわけがないのに、いつまでも元嫁が自分を待ってるわけがないのに、自意識過剰だよなあ。
「愛ちゃんに近付こうもんなら、接近禁止令出すからね?」
僕は、ぽんっと彼の肩に手を乗せると言った。
「いつでも僕が新しい職場まで真実を言いに行ってあげるからね。ほら、あの時匿名で証拠送られてきたじゃない?あれまだ保管してあるから安心してね。また辞めさせられないようにね。せっかく転職できたんだから。」
信用が何よりも大事な銀行でやらかして、出世街道から外れたことにプライドが許せない彼は退職。
その後は新天地で気持ちを切り替えて、仕事に励み、新しい女性との出会いもあって楽しんでるらしいことを、優秀な興信所から聞いている。
「僕は君の彼女の名前も知ってるよ?」
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