第二話 過去の結婚歴
僕の名前は長原宏。
僕は、一人っ子だった。
優しかった両親との幸せな日々が壊れたのは父親の浮気が原因だった。
離婚したあと、母親が僕を引き取った。
いつもいい匂いがする優しいお母さんは、離婚と同時に水商売を始めて、目つきは鋭く、香水の香りがするようになった。
小学校が終わって家に帰ると知らない男がいるなんてことはしょっちゅうだった。
毎日のように取っ替え引っ替えだったから、あまり母の恋人の顔は覚えられなかった。
夕方まで帰ってくるなと言われたので近所の公園で時間を潰していた。
あんなに大好きだった母親が変わってしまったのは父親が原因だと思った。
浮気をする人たちを毛嫌いするようになった。
まあ、若気の至りで女遊びはたくさんしたけど。
自分の中でのけじめとして、彼女は作らなかった。
ただのその場限りの関係。
お互いに寂しさや性欲をぶつけるためだけにあった。
転機が訪れたのは25歳の同窓会。
同級生に中学時代からずっと好きだったと告白されて、心が動いた。
今まで外見だけを見て寄ってくる女の子たちはいたけど、ここまで一途に思い続けてくれた子は初めてだった。
何度か二人で遊びに行って正式に付き合って、相手の両親にも挨拶をして結婚をした。
自分の母親は死んだということにして会わせなかった。
会うたびにお金をせびられるのが嫌で、大きな額の手切れ金を渡して絶縁していた。
志願転勤して物理的に距離が離れたし、どこかで偶然に会うことはないだろう。
結婚生活は順調と思っていた。
籍を入れてからすぐに子供にも恵まれた。
僕もようやく幸せな家庭を築けるだなんて思っていたら、彼女の浮気現場に遭遇した。
自分の母親の男癖の悪さから、女性を心から信頼できていなかった僕はショックも受けたけど
″やっぱりそうか″という気持ちの方が強かった。
冷静に弁護士事務所へ行って離婚に向かって動いた。
弁護士の先生は、探偵を雇って証拠を集めることと、子供のDNA鑑定をするよう指示してくれた。
結果は僕の子供ではなかった。
托卵のために僕に近づいて、ずっと好きだったと嘘をついたようだった。
やっぱり僕を心から好きになれる女性なんていないのに、信じて籍まで入れるなんて本当に愚かだった。
その後、証拠と弁護士のおかげですんなり離婚ができた。
義両親は泣いて謝ってくれたし、僕を本当の息子のように思おうとしてくれていたから、胸が痛んだし、もう一生会わないと思うとそれだけが心残りだった。
もうそこから10年以上経ってようやく、愛ちゃんと再会した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます