努力家な転生第六王子 ~前世凡人ですが、幼少からの鍛錬で世界唯一の禁忌魔法の使い手になりました~
純クロン@『努力家な転生第六王子』発売中
第1話 転生しました
借りているアパートの一室で、身体がフラついたと思ったら倒れてしまった。
身体が動かなくて床から立てないし、意識がもうろうとしてくる。
(あ、これヤバイやつだ……)
俺は孤独の身だ。
両親はすでに亡くなっていて仕事は派遣切りにあって転職中。連絡を取っている友人もいない。
この家に来るのは新聞の勧誘くらいだ。このまま倒れると誰にも気づかれずに死ぬ。
(このままだと死ぬまで気づかれないぞ……!? くそっ!)
だが指ひとつ動かせない。ポケットに入ったスマホすら触れない。
なんとなくわかる。このまま死ぬのだろう。
そう思うとこれまで三十年の人生の後悔が噴き出してきた。
俺は孤独だ。
昔は友人がいた。だが就職に失敗して会いづらくなって、そこからはもう連絡していない。
もし高校生の時、真面目に大学受験していれば。大学の時、もっとしっかり就職活動をしていれば。
社会人になってスキルを磨いておけば、少しは変わっていたのだろうか。
付き合っている彼女がいたら、死ぬ前に気づいてもらえただろうか。趣味でもあれば友人がいただろうか。
あるいはSNSで知り合いが多ければ、誰かが俺が呟かないことに気づいてくれただろうか。
失敗が頭に浮かんで挑戦や努力をためらい、なにもやってこなかった結果がこれだ。
俺が死んでも悲しむ人はおらず、葬式もやってもらえない。もしも色々と挑戦してみて、努力し続けていればこんな終わり方じゃなかったのだろうか。
頭に浮かぶのは父や母が生きていて愛されていた頃や、褒められた頃の記憶だった。
他には友人と仲良く遊んだ時など、共通するのは必ず誰かが横にいた時の光景だ。
もちろんひとりで死ぬのを望む人もいるだろう。だが俺は違った。
――俺は他の人に認められたかった。愛されたかった。孤独は嫌だったのだ。
(寂しい。もっと色々と頑張ってれば、よかったのかなあ……)
目を開けてられない。周囲が闇のように真っ黒になっていった。
◇◇◇
「ベルティアちゃん!」
いきなり耳元で叫ばれて俺は思わず目を開けた。
な、なんだなんだ!? いきなりなんだよ!?
周囲を見回してみると豪華な洋風の部屋だ。まるで高級ホテルのように高そうな壺とか飾られたり、ベッドに天幕がかけられていた。
知らない場所だがそれどころではない。何故なら、
「よしよしー。ベルティアちゃんは可愛いですねー」
ドレス姿の金髪女性の顔がすぐそばにあり、俺は彼女に抱きかかえられているようにしか見えないことだ!?
いやそんなバカなことがあるか!?
俺は体重70キロを超えて少しぽっちゃり形態なのに、こんな可憐そうな女性に持ち上げられるわけがない。
困惑していると赤ちゃんの小さい手が見えた。
……俺が思う通りに動く赤ちゃんの手が。
すると俺の態度が言葉に反応しているように見えたのか、女性はものすごく嬉しそうにニコニコと笑うと。
「見なさい! ベルティアちゃんが言葉に反応したわ! 生まれてすぐに手を動かすなんて天才よ!」
と近くにいたメイドに叫んだ。なにを言っているのかは分からない。
英語……ではなさそうだ。
「落ち着いてください王妃! 赤子は手を動かすものです!」
「いいえ今のは私の言葉に反応したの! そうよねあなた!」
女性が振り向いた先にいた、しかめっ面をした男が俺の近くへ歩いてきた。
頭に大きな冠をつけていて王様みたいで、率直に言ってしまうと顔がかなり怖い。
そんな男は俺の方をジッと睨んだ後。
「偶然だ。余は王座に戻る」
なにか言って去っていった。なんか冷たそうな雰囲気の人だな。
「まったくあの人は! ほらベルティアちゃん、疲れたでしょうー? ねんねしましょうねー」
「あの王妃様。ベルティア六王子の面倒を見るのは私たちが……」
「子の面倒を見るのは母の仕事です! あなたたちは控えていなさいっ!」
なにを言っているかはよく分からないが、ここはどう見ても日本ではない。
そして俺は赤ちゃんの姿になっている……もしかしてこれは転生というやつだろうか?
もし転生ならば、人生をやり直せるのならば。
(二度もあんな悲しい死に方を味わうのは嫌だ。新しい人生なら色々と頑張ってやる)
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