ここは旅先1
フラダンスに感動して暫く放心していると先ほどの司会者が現れ、やはり涙ぐみながら
「いやあ。素晴らしかったですね。感動しました。ラインダンスの後だっただけに……、あ、いえいえ、ゴホン」
そうおどけて見せた後
「では、本日最後のアマチュアチーム、赤い薔薇チームによるフラメンコです。ではご登場下さい。皆様に情熱を届けていただきましょう!」
「フラメンコって初めて生で見たけど、素敵だったわね。もちろん一番はあのフラダンスだったけど」
「トリのラインダンスも笑ったよねぇ。面白かった。案外素人ってすごいね」
そんな話をしながら熱気冷めやらぬ会場を後にする私達に
「すずめちゃんと、つぐみちゃんよね?」
そう言って声を掛けてくる人がいた。振り向けばさっきのフラダンスチームの中心に居たアマチュアダンサーだ。
「え? そう、ですけど……」
知り合いではない、と思いながらひょっとして、とも思う。この人がアンドロイドならば中身は知り合いかもしれない。
「驚かせてごめんなさい。私よ。かもめ。
「ええーっ! おばあちゃんっ?」
私とつぐみの声が重なった。
「奇遇ねぇ。さっき、ステージの上から見つけてたのよ。二人で旅行? 相変わらず仲が良いわねー」
そう言って祖母はニコニコ笑う。
「おばあちゃん、そのアンドロイド……」
「ああ、これね、私の若い時の姿を再現してもらったの。丁度、趣味でフラダンスを習ってた頃。お爺ちゃんとも出会う前よ。なかなかイケてるでしょ?」
確かにスタイルも良いし笑顔も素敵だ。でも、と私は思う。おそらくつぐみも同じ事を考えている。お互い口には出さないけれど。
「二人ともっ! 変な心配してるでしょ? うーん。残念ながらその通りだけど、でもね、っとこの先は私のお部屋で話さない?」
私とつぐみの答えは決まっている。
祖母がこの旅行システムを使っているという事は、つまり先が長くないという事だ。
元気な祖母と話せるのはおそらくこれが最後になる。
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