第17話:部活の後輩と楽しく話していく

 とある日の放課後。


 俺はちょっと前に陸上部に入部したんだ。それで今日はその陸上部の部活の日だったので、俺は運動服に着替えてグラウンドを走っていた。


「ふぅ、ちょっとだけ休憩しようかな……」


 それからしばらくして、長時間走って疲れてきたので俺は一旦走るのを止めて休憩を始めていった。するとその時……。


「せんぱーい、お疲れさまですー!」

「うん? って、あぁ、綾瀬か。おつかれさま」


 するとその時、同じ陸上部の後輩である綾瀬彩香あやせさやかが声をかけてきてくれた。実はこの陸上部は男女兼部になっているので俺の周りには沢山の女子部員がいるんだ。


(まぁ陸上部の男子部員が3人しかいない時点で男女兼部じゃなきゃ無理だしな)


 というかそもそもこの世界は男子の数が圧倒的に少ないので、学校の部活動は全て男女兼部になっているんだ。


 だから部活に入るのはちょっと恥ずかしいなって思ったりもしたんだけど、でも俺は恥ずかしい気持ちを振り切ってこの陸上部に入る事にしたんだ。


 そしてそんな恥ずかしい気持ちを振り切って陸上部に入った理由は、今俺の目の前にいる女の子は綾瀬彩香という一年の女子がきっかけだった。


 綾瀬は身長150センチ後半くらいのスレンダー体型。見た目は清潔感のある黒髪のショートヘアにパッチリとした大きな瞳が特徴的な非常に可愛らしい女の子だ。


 そしてこの綾瀬は実はちょっと前に廊下で倒れ込んでいたあの女の子なんだ。保健室に運んでいってあげた縁で綾瀬はそれ以来俺に会うとちょこちょこ話しかけてくれるようになったんだ。


 それで俺は転校する前の男子校では陸上部に入ってたという事を教えると、綾瀬も陸上部に入っているから良かったら一緒に陸上部に入ろうって誘われたので、これも何かの縁だなと思って俺はこの学校でも陸上部に入る事にしていったんだ。


 そしてちょっと恥ずかしい気持ちになりつつも陸上部に入った初日にグラウンドを全力で走っていると、綾瀬は『先輩の走るフォームすっごく綺麗ですね!』って目をキラキラと輝かせながら全力で褒めてきてくれたんだ。


 そんな風に全力で褒めてくれると俺も何だか嬉しくなっていったので、そこから俺は綾瀬に走るフォームを教えてあげたりとか色々と面倒を見てあげるようになっていった。そんな事もあったおかげで綾瀬とはどんどんと仲良くなっていったんだ。


(それに綾瀬って話していると愛嬌が凄くあって可愛いらしい女の子なんだよなー)


 綾瀬はいつも非常に明るくて人懐っこい性格をしていて、どんな時でも笑みを浮かべながら接してきてくれる天真爛漫な女の子だった。元の現実世界だったら絶対に男子人気が滅茶苦茶高そうな気がするわ。


「いやー今日も先輩は走るのすっごく早かったですね! これなら今度の県大会で良い成績を収める事が出来ると思いますよ!」

「はは、そうだと嬉しいな。綾瀬もどんどんと走るフォーム綺麗になってるし、大会で良い成績取れるんじゃないかな?」

「えっ!? 本当ですか!? 先輩にそう言って貰えると嬉しいです!」

「そっかそっか。ふぅ、まぁでもちょっと走り疲れたしさ……良かったらあっちのベンチに座って少し休憩でもしないか?」

「あっ、はい、わかりました! それじゃあ私も休憩のお供をさせて貰います!」

「おうよ」


 俺はそんな提案をして綾瀬と一緒にグラウンドに設置されてるベンチの方に移動していった。そして綾瀬と一緒にベンチに座りながら近くに置いていたスポドリをゴクゴクと飲みながら休憩を始めていった。


「んく、んく……ぷはぁ。今日も疲れたなぁ……って、あれ? 綾瀬は飲み物とか持ってきてないのか?」

「え? あ、はい、実は飲み物を部室に置きっぱなしにしてて……」

「あぁ、そうなのか。せっかくの休憩なのにそれじゃあ喉乾いちゃうよな。あ、それじゃあ良かったら俺のスポドリ飲むか? ほらよ」


 俺はそう言って今口を付けてたスポドリを綾瀬の方に手渡していこうとした。するとその瞬間……。


「えっ……って、ふぇっ!?」


 するといつも天真爛漫な笑顔を浮かべている綾瀬は途端に顔を真っ赤にしながらビックリとした声を上げていった。


 俺は休憩してるのに喉が渇いてたら辛いだろうと思ってスポドリを渡そうとしただけなんだけど……でも俺はすぐに綾瀬の気持ちを察していった。


(あ、そうか。そりゃあ顔を真っ赤にするに決まってるよな)


 ここは貞操逆転世界なんだから、元の現実世界の思春期男子の考える事がこちらの思春期女子の考える事になる。


 だから今のこのシチュエーションって現実世界で言うと……学校の仲良くしてくれてる女子先輩が今まで口を付けて飲んでたスポドリを俺に手渡してきたっていう感じだもんな。そんなの俺だって絶対に顔を真っ赤にしながら慌てふためくに決まってる。


(まぁでも綾瀬は俺にとって唯一の仲良い後輩だし、そんな仲の良い後輩のために喜んで貰えるような事をしてあげたいよなぁ)


 俺はそんな事を考えていった。だって俺にとって綾瀬は物凄く仲の良い後輩なんだ。それに綾瀬だって俺の事を心から慕ってくれてるのもわかっている。


 そんな俺の事を慕ってくれてる仲の良い後輩に喜んで貰える事をしてあげるのも先輩としての大事な役目だろう。という事で俺はこの貞操逆転世界に住んでいる思春期女子な綾瀬のためにこんな事を言ってあげる事にしてみた。


「あぁ、ごめんごめん……前の学校で部活とかしてると普通に男同士で回し飲みとかしてたからさ、だから何の気なしに女子の綾瀬にも同じような行動を取っちゃったわ。やっぱりそういう回し飲みとかは綾瀬は抵抗感あるよな……」

「え……って、えっ!?」


 俺はちょっとだけ寂しそうな表情をしながら綾瀬に向かってそんな事を言っていった。すると綾瀬はビックリとし始めていった。


「い、いえっ! そ、そんな抵抗感なんてありませんよ! ぜ、全然いつも女子同士で回し飲みとかしますし! で、でも先輩は男の子なんですよ? そ、その、先輩こそ……私みたいな女子と回し飲みするなんて抵抗感みたいなのは無いんですか……?」

「? いや、俺だって仲良い人としか回し飲みなんてしないよ? だから綾瀬だけが特別って事だよ。だって俺にとって綾瀬は一番仲の良い後輩だからな?」

「ふ、ふぇぇっ!? わ、わたしだけが特別!? い、いや、そ、それはその……も、もう、先輩! 先輩は女子からすっごく人気高いんですから……そ、そういう事はお世辞でもそういうのは言わない方が良いです! わ、私は勘違いとかそういうのはしないから大丈夫ですけど……で、でもそういうのはあまり言わない方が良いですよ!」


 綾瀬は顔を真っ赤にしながら慌てた素振りでそんな事を言ってきた。普段から凄く可愛らしい綾瀬なんだけど、でも顔を赤くして慌てている綾瀬も何だか凄く可愛らしく見えた。


「はは、ごめんごめん。綾瀬の事を困惑させるような事を言っちゃって悪かったよ。でも綾瀬が熱中症になって倒れたりすると俺は心配だしさ……だから素直に受け取ってくれると嬉しいな」

「えっ? って、あ……そ、そうですよね。また倒れちゃったりしたら先輩に迷惑かけちゃいますもんね。はい、わかりました。そ、それじゃあその、ありがたく先輩のスポドリを頂戴しますね……!」

「おうよ。それじゃあ、はいこれ」

「は、はい、ありがとうございます……!」


 そう言って俺は顔を真っ赤にしてる綾瀬に今まで俺が飲んでいたスポドリを手渡していった。


「あ、スポドリの中身は半分くらい残ってるけど、それ全部飲んじゃって良いからな。ま、そのスポドリを飲んでゆっくりと休んでくれよー」

「は、はい、ありがとうございます! そ、それじゃあ……んく、んく……」


 そう言って綾瀬は顔を真っ赤にしたまま、凄く嬉しそうな表情をしながら俺の渡したスポドリに口を付けて飲み始めていった。

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