南雲先輩とお揃いのカップと、それから

第36話

南雲先輩とお付き合いを始めて早2ヶ月と少し経った。1ヶ月過ぎるくらいは忙しすぎてまともにお出かけしたりデートしたりすることはなかったけど。



繁忙期を過ぎた後から、頻繁にお出かけするようになった。



社外の南雲先輩はというと。



『茉莉、それ一口ちょーだい』



「あーん」と開けている南雲先輩の口に、私のパスタを巻いて突っ込む。


『うまいなこれ』



ご満悦な顔が見られて何よりではあるけれど、どうしても。どうしても。



この甘さに慣れることができないでいる。



そりゃあそうだよ仕方がないよ。私は3年間、南雲先輩からつめたーい対応(時には飴があったけど)をされていたんだもの。その対応すら好きだったけど、こんなに甘い先輩にはまだまだ慣れることなんてできやしない。



というかこの先ずっと無理な気がする。




『茉莉はまだ慣れないの?』




そんな私を見て楽しそうに笑う先輩。わかっててやってるのだから意地が悪い。




「だって、南雲先輩会社と違い過ぎるんですもん」


『また名前』



それだってまだ照れてしまう。先輩はすぐ私の名前を呼ぶけれど、名前を呼ぶって私にとってはとてつもなくハードルが高いことなのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る