後輩北田と俺

第26話

社会人2年目の始め。ある居酒屋で同期たちと飲んだ。仕事にも少しは慣れてきた。だが愚痴は溜まる一方。みんなで愚痴を言う会が開かれたとき、たまたま体調が良くなかった。



いつものように飲んでしまい、気持ち悪さと吐き気を抑えながら外に向かっていたとき、出会った。



向こうはバイトで、どう見ても学生。そんな彼女から目が離せなかった。



なぜかはわからないけど、自然と目で追ってしまった。一目惚れなんて一切信じてなかったけど、俺は考え方を180度変えることとなる。



外に出てとりあえず気持ち悪さを抑え込み、平気になってきた頃にまた店内へ戻る。その時見たのが。



『お姉さん、今日バイト何時まで?』


『俺たちと飲もうよ〜』


3人くらいの男に道を塞がれている彼女だった。おいふざけんなお前ら何やってんだボケ。そう怒鳴りたくなり近づいた瞬間。



『バイトはもう終わりますがあなたたちとは飲みません、ごめんなさい』



きっぱりとそう伝えた彼女。今時珍しいな。



『そんなこと言わないでさぁ〜?ね、いいじゃんいいじゃん』



食い下がる男どもが、彼女の手首を握る。ベタベタ肩も抱き始めた。おいてめえ今すぐ手を離しやがれ。



その瞬間。



『いてててててててて!!!!』



ぐりん、と彼女は男の手を跳ね上げた。やるな、すげえ。



『おいこの店がどうなってもいいのかよ!!!』



周りにいた男がそう言ったとき、いてもたってもいられなかった俺は。



『おにーさんたち。さっきの最初から撮ってるよ』



携帯をチラつかせて脅せば、居心地が悪そうな顔をしてすっこんでいった。



「ごめんな、勝手なことして。もっと早く助けられればよかった」



『いえ。ありがとうございました』



さっきまで気丈に振る舞っていた彼女の手は、少しだけ震えていた。その姿を見て、守りたいと強く思った。



「怖かったよな。よくがんばった」



撫でたらセクハラかな?と思ったので、たまたまポッケに入ってたイチゴ飴をあげれば、ぱあっと明るい顔になった彼女。あぁ、すげえ可愛い。俺のそばで守ってやりたい。



胸元についている名札を見ると「北田」と書いてある。下の名前はなんで言うんだろう、もっとちゃんと話したい。そう思ったとき。



『まつり〜!オーダー!よろしく!』



カウンターから呼ばれてしまった。



『あの…さっきは、ありがとうございました!』



ぺこり、と頭を下げて微笑んだ彼女に、いとも簡単に俺の心は釘付けになった。

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