最愛の幼馴染は婚約回避のための偽の恋人

なつきはる。

序章

「その婚約はお断りさせていただきます」

 そう告げたとき、父が豆鉄砲を食らったような顔をしたところを初めて見た。

 すぐに取り繕うように咳払いをした父は、真摯な顔で座っている息子が緊張で跳ね上がる鼓動を抑えつけようと必死になっていることを知らない。

「誰か想う相手がいるのか?お前はてっきりアメリアのことを好いていると思っていたのだが」

「あの子のことは大切に想っております。ただ俺にとっては妹のような存在なのです」

「そうか。あの子とお前が結婚してくれたら、あの子にとってもよいことだと思ったのだがなぁ」

 そう嘆息する父は当てが外れて落胆しているように見えた。提案された彼女との婚約がこの家に莫大な利益をもたらすことはわかっている。幼い頃にこの家に引き取られたアメリア=リデルは隣国の王家の血を引いている。それを知っているからこそ、ケレンはこの婚約話をどうしても回避しなければならない。

「アメリアにはいずれ俺よりも相応しい相手が現れるでしょう。ロックウッド侯爵家の後ろ盾があれば誰も文句は言わないでしょうし」

「お前がそう言うのなら仕方がないな。それで、お前が心に想う相手は誰なんだ?うん?」

 父の関心がすぐにケレンの相手へと移った。教えておくれと懇願する瞳は〈以前の彼〉であれば考えられないほどに優しい。そもそも〈以前の父〉であったのならケレンの意見は聞かずにアメリアとの婚約を断行していただろう。そして〈以前のケレン〉であればこの話にほくそ笑んでいたはずだ。けれどそのことを、この父はなにも知らない。今の父は優しくて、家族思いのよい父親だ。

 そう問われてつい、傍らに立つ幼馴染を見上げてしまった。ケレンの護衛騎士として幼い頃から共に育ってきたヨルド=テディが、不思議そうに見返してくる。それに居た堪れなくなって、ケレンはなんでもないと曖昧に笑ってから父に向き直った。

彼だけはこの計画に巻き込むわけにはいかないのだと、自分に言い聞かせる。

「この父ならばお前の想いを叶えてやることができるかもしれない。アメリアと婚約しないのは残念だが、あの子には相応しい他の相手を見繕えばいい。どこの令嬢だ?まさか家柄が釣り合わないから言えないなどということはないな。お前が心に決めた相手なら歓迎するぞ」

 そう優しくケレンを促すこの父が冷酷無慈悲な血の侯爵と呼ばれていたなどと、誰が信じるだろう。無事に婚約回避の方向に話が進んでいるのを感じて、ケレンは強張っていた身体の力を抜いた。けれどここで気を緩めてはいけない。これからケレンが口にすることが、どういった方向にこの現実を向かわせるかはわからなかった。けれど優しい父を困らせる結果になることはだけは目に見えている。

「父さまのお力を持っても俺と想い人を結ぶことはできないでしょう」

「一体どういう意味だ?平民なのか?」

「平民ではありません。ただ、その人は同性で俺の片想いなのです。この気持ちを告げるつもりはありませんが、心に背いて他の令嬢と結婚するつもりもありません。なにより相手のご令嬢に失礼でしょう?」

 できるだけ説得力がありそうな言葉を選んで、落ち着いた声のトーンを心がけた。傍でヨルドが驚いたように息を詰める気配がする。思った通り、父は目を丸くして固まっていた。この時代に堂々と同性がすきだと口にする者はいないに等しい。それなのに息子が、跡取りとして手塩にかけて育てた息子が、そうだと言う。父には申し訳ないけれど、これがアメリアと婚約できない決定的な理由になるだろう。

 受け入れるのに時間が欲しい、と言う父の申し出を飲んで、ケレンはヨルドと共に執務室を出た。重苦しい空気から解放されて安堵の息を吐く。父から話があると呼び出されて、遂にこのときがきたのだと悟った。父は難しい顔をしていたが、今の彼ならばケレンの想いを汲んでくれるはずだ。

「いつからすきな男がいたんだ?」

 そう問われて振り向くと、ヨルドが少々不機嫌そうな表情を浮かべていた。冷静であろうと努力しているのがわかる声も不機嫌さを隠しきれていない。

「気になる?」

 薄い笑みを浮かべると揶揄されたことがわかったのか、ヨルドがあからさまな溜息を吐いた。どうやら多くを語らなくとも、あれがケレンの方便であったことに気がついたらしい。少し安堵しているように見えるのは、そうだと思いたいケレンの贔屓目だろうか。

 ヨルドは代々ロックウッド侯爵家に仕える子爵家の息子だ。護衛騎士として幼い頃から共に育ち、ひとつ年上だが、護衛のためアカデミーに同級生として通っていた。整った顔立ちに綺麗な紅い髪と瞳は同性から見ても惚れ惚れするほどで、ケレンよりも頭ひとつ分背が高い。ケレンはくすんだ金髪が少々残念だが、母親譲りの整った顔立ちのおかげで、彼と一緒にいると女の子たちの注目の的になる。関係性を勘繰られている節もあるが、ヨルドが嫌がらないのをいいことにケレンは肯定も否定もしなかった。そうしておけば、ヨルドが言い寄られているところを見なくて済む。

 ヨルドが向けてくれる気持ちは家族愛に似た、幼馴染としての思慕だとわかっている。大切にされている自覚はあるが、護衛としての忠誠以上の特別な感情は見えてこない。だから父を欺くための嘘を気にされるとは思わなかった。少しうれしいと感じている、この心がうしろめたい。

「どうしてあんなこと言った?男がすきだなんて、断る口実なら他にいくらでもあるだろう」

「令嬢と婚約できない理由としてはいちばん明確でいい案だろう?永遠に片想いしているという設定にしておけば相手を探られることもない」

「アメリア嬢とそこまでして婚約したくない理由は?」

「言ってもお前はきっと信じないよ」

「おいおい、俺がケレンを信じなかったことなんかあるか?」

 ヨルドに心外だと言いたげな表情を浮かべられて苦笑いが零れた。その言葉通り、彼は世界中を敵に回してもたったひとりケレンの味方でいてくれる。それが推測ではなく確定事項だということをケレンは痛いほどよく知っている。知っているから、言わない。

 自室へと戻る途中、廊下の窓から緑豊かな庭園が見えた。趣味で園芸の手入れをしている母の周りをまだ幼い双子の兄妹が楽しそうに走り回っている。そのすぐ側に置かれたベンチではアメリアが膝の上に本を広げていた。まるで絵に描いたような美しい光景にケレンは思わず足を止める。

 父の執務室の方を見遣れば、彼もその窓辺に立ってその光景に目を細めているのが見えた。この光景のお陰で、父が〈血の侯爵〉と呼ばれず済んだことをケレンだけが知っている。この先も父がそう呼ばれることはないだろう。温かな家族に囲まれて、侯爵領の民たちにも慕われる侯爵のままであり続けてほしい。

「てっきり、お前はアメリア嬢と結婚するもんだと思っていた。あの子がこの家に引き取られてきたのは、お前の花嫁にするためだともっぱらの噂だったんだぞ」

「そう言えばそんなこと言っていたな」

「侯爵さまのいとこの娘だとはいえ、なんの後ろ盾もない少女を引き取ったんだ。そう言われるのも頷けるだろう?だから俺は、」

 そこまで言ってヨルドが言葉を失ったように口を噤んだ。どうしたと見上げると誤魔化すように薄く笑う。それはなにか都合の悪いことを口走りそうになったときに見せる、彼の癖のようなものだ。だからそれを見たとき、ケレンは深く追求しないことにしていた。いくら生まれてからずっと一緒に過ごしてきたとはいえ、お互いに言えないことくらいはあるだろう。

 読書の邪魔をしに双子が駆け寄ってくるたびに、アメリアはにこやかに相手をしてやっていた。そのうち妹の方を膝の上に抱き上げて本を読んでやろうとする。血は繋がっていなくても仲の良い姉妹のようだ。

ケレンはその光景を目の当たりにするたびに、違う世界を目の当たりにしているような、不思議な気分になった。幼い双子もケレンの六つ下の弟も、ケレンが知る限り本来は存在していないはずだったのだから。

「アメリアと結婚するわけにはいかないんだ。どうしても」

 そう呟いたケレンにヨルドはそうかと言っただけだった。ケレンが口にしない限り、彼が無理に追及してくることはない。それがわかっているから甘えてしまう。ケレンの絶対的な味方でいてくれる彼に、隠し事をしているのは心苦しかった。でも、信じてもらえないとわかっているから話す気にはなれない。

 いくらヨルドがケレンの言うことを鵜吞みにするからといって、この世界が本の中に存在しているなどと信じてはくれないだろう。しかもそれを、ケレンは前世で読んだことがある。

 ケレンは前世で読んでいた本の世界に転生してしまったのだ。

 


 ケレンがそのことに気づいたのは八歳のときだ。

 ヨルドと木に登って遊んでいたとき、足を滑らせて地面へと落下した。幸い命に別状はなかったが、したたか頭を打ちつけたせいで数日間昏睡状態に陥った。ようやく目醒めたとき、ケレンはぼんやりとした前世の記憶を取り戻していた。この世がかつて読んだことのある本の世界と酷似していることに気づいたのだ。

 最初は眠っている間に変な夢を見ていたせいで、意識が混濁しているのだろうと思った。夢の中のケレンは今よりも大人で、どこかわからない寂れた石造りの部屋に幽閉されていた。どうしてそうなったのだろう、自分の姿を俯瞰で眺めているのは不思議な気分だった。もうひとりのケレンはなにか知らせのようなものを受け取ったあとで咽び泣き、声のあらん限り慟哭した。世界でいちばん大切な人を失ってしまった哀しみで胸が張り裂けそうだった。このまま本当に胸が裂けてしまえばいいのにと願っていた。そうすれば〈彼〉の元へ逝くことができる。

 目が醒めたとき、耳に悲痛な叫びが残っていた。うっすら開いた瞼の隙間に至極心配そうなヨルドの顔が見えて、ああ彼は生きているのだと酷く安堵したことを覚えている。よかったと思い切り抱き寄せられたとき、ケレンは思わず泣いていた。ヨルドが無事で生きていてくれたことがうれしかった。ただただ、うれしかったからだ。

 しばらくベッドで安静に過ごしながら、混乱する頭を整理した。そしてケレンはどうやらここが本当に〈前世〉で読んでいた本の中の世界であるらしいと確信するに至った。ただ、物語の時間軸よりは少し前であるようだ。この世界で生きてきた記憶と〈前世〉の記憶が混在しているのは実に不思議な心地だった。ケレンはその本を姉から勧められて読んでいた。細かい部分まではすぐには思い出せなかったが、おおよそのあらすじはわかっている。

 けして信じたくはないが、あろうことにケレンはヒロインと皇子の恋路を邪魔する悪役令息だった。物語の中のケレン=ロックウッドは冷酷無慈悲な男で、ヒロインであるアメリアを愛するあまり過度な束縛で彼女を苦しめる。ケレンの生家である侯爵家の後見を受けていたアメリアは、侯爵の独断によりケレンと無理矢理婚婚約させられてしまうのだ。舞踏会でアメリアを見かけた皇太子であるライオネル=グレンラードはひと目で彼女と恋に落ち、ケレンの仕打ちに苦しむアメリアに優しく寄り添う。そして必ず救い出すと誓い、ケレンを断罪することに成功する。

 一方ヨルドは、護衛騎士としてケレンに忠誠を誓っており、断罪され遠く幽閉されたケレンを救い出そうと皇太子に楯を突いて返り討ちに遭う。ケレンが夢で見た光景は、ヨルドの悲報を知らされた場面だったのだろう。

 ライオネルとアメリアの恋物語が情緒たっぷりに書かれている一方で、悪役であるケレンやヨルドに対する仕打ちは結構酷いなと思ったことを覚えていた。そんな未来を受け入れて、大切なヨルドを危険に晒すわけにはいかない。安静を言い渡されている間、ケレンは断罪される未来を回避するための策をひたすら練った。ケレンが断罪されなければ、ヨルドは皇太子に楯突くことはない。ケレンが自分の命を救うために行動することが、結果的にヨルドを救うことに繋がる。そう信じるしかない。

 前世の記憶をできるだけ鮮明に思い出そうと努力した結果、細かい部分に不安はあるものの、大体の流れは思い出すことができた。考えるだけで恥ずかしいが、本の中でケレンは冷酷無慈悲な氷の貴公子と称されていた。そうなるに至ったのは、まだ幼い弟と母が外出の折に賊に襲われて命を落としてしまったからだ。残忍な殺され方を目の当たりにした父は心を鬼にして賊に同じ仕打ちを命ずる。それがあまりに残酷な仕打ちだったため、父は領民から血の侯爵と呼ばれるようになる。

 ベッドから出る許可が出ると、ケレンはノートにひとつひとつきっかけとなる出来事を書き出していった。母と弟の命を救うことは父の心を救うことに繋がるだろう。アメリアがこの屋敷に来るのは母と弟が亡くなったあとだ。父と母が仲睦まじく暮らしている今現在、彼女はこの屋敷にはいない。アメリアは母と弟を亡くした哀しみに暮れる父とケレンの大いなる慰めになる。それがケレンの溺愛と執着を生んだに違いない。

 未来を変えるために行動を起こしたケレンがいちばん懸念していたのは、変えた筋書きが元に戻ることだった。せっかく母と弟を救っても別の原因で命を落としてしまったら元もこうもない。しかしどうやらこの世界はケレンが生きる現実に違いなく、変えた結果はそのまま新たな未来に繋がっていった。母と弟は命を落とすことなく、数年後には双子の妹と弟が生まれた。父は相変わらず優しいまま、よき侯爵として慕われている。

 行動を開始したばかりのケレンはまだそうなることを知る由はなかったが、ヨルドを救うためのたしかな手応えは得ていた。小さな変化を積み重ねていけば、いずれふたりの運命を変えることができるだろう。これは本の結末を知っているケレンにしかできないことだった。ひとつだけ誤算があったとすれば、ケレンに対するヨルドの気持ちの解釈を前世の姉から力説されたことまで思い出したことだ。そのせいで、ケレンは彼に淡い気持ちを抱く羽目になった。

 ヨルドはその命を投げ打ってまでケレンを救い出そうとする。それははっきりと本に書かれている事実だが、その行動の裏には長年恋慕う気持ちが隠されているのだと姉は言う。ケレンはヨルドが討たれたことを知り、ようやく誰がいちばん大切であったかに気づいたと言うのだ。

 あくまでも姉の私見だが、ヨルドを失った夢を見たときの胸の痛みは本物だった。今のヨルドにケレンのことを恋慕う様子はなかったし、俺のことがすきなのかと馬鹿正直に聞くわけにもいかない。それでも眉目秀麗で優秀な幼馴染に誰よりも大切に扱われ続けたら、勘違いしてしまうのは仕方がないことだ。ケレンはあの夢を見たことで、彼が自分にとってどれほど大切な存在なのかを思い知らされたのだ。

 アメリアが祖父母に伴われて侯爵家を訪れたのはそんなときだった。

 アメリアの母は父の母方のいとこで、生家は何代か前に事業に失敗し辺境に追いやられていた。この頃は娘たちを侯爵家や伯爵家に行儀見習いに出しなんとか食い繋いでいたようだ。

 三人が両親と応接間で話している間、ケレンは重厚な扉に耳を押しつけながら、どうにかしてアメリアがこの屋敷に来ることを阻止できないかと考えていた。祖父母はけして知らないだろうが、アメリアは母親が隣国の王弟との間に設けた私生児だ。隣国王家の何番目かの王女の侍女をしているときに王弟殿下に見初められ、アメリアの母は身分違いの恋に落ちた。そうしてアメリアを身籠ったことに気づくと、すぐに王弟殿下の前から姿を消した。

 アメリアの母は彼女を産んだあと身体を壊し、幼い頃に亡くなっていたはずだ。父親の知れぬ孫娘の養育は祖父母にとって手が余ったのだろう。大変見目麗しく育ったアメリアが年頃になる前に、侯爵の後ろ盾を頼ってきた。侯爵家には同い年のケレンがいるし、あわよくば婚約を狙ったのだろう。原作では母と弟が亡くなって父もケレンも悲嘆に暮れている頃なのでつけ入りやすかったのだ。

 扉が分厚いせいで健闘虚しくなにも聞こえなかった。おそらくは今頃、祖父母がアメリアの可哀想な身の上話で両親の同情を誘っている頃だ。優しい父と慈悲深い母のことだから、彼らの経済状況を鑑みて提案を受け入れるに違いない。その思惑を阻止したいと強く思っていても、まだまだ子供であるケレンにできることは少なかった。精々アメリアと距離を置いて関わらないように努めることくらいだ。

「なにしてるんだ、こんなところで」

「わっ、!」

 降って湧いた、呆れたような声音にケレンは驚いて大きな声を出してしまった。慌てて唇を覆って辺りを見回したが、廊下にいたのはヨルドただひとりだ。聞き耳に集中していたせいで背後から近づいてくる彼の気配に気づかなかったらしい。どうかしたのかと言いたげな彼を人差し指を唇に当てて制した。静まり返った廊下で耳を欹ててみても、部屋の中からは物音ひとつしない。

「なんだ、未来の婚約者さまが気になっているのか?」

「馬鹿なことを言うなよ。そんなんじゃない」

 ヨルドは揶揄っただけだとわかってはいたが、つい答える声のトーンが落ちた。こちらはアメリアとの邂逅をどうにかして避けようと必死に頭を捻っているというのに、なにも知らないのをいいことに適当なことを言ってくれる。このままではお前は確実に悲惨な死に辿り着くのだと言ってやれたらどんなにいいだろう。

「怒らせたのなら悪かった。みんなが噂していたんだ。あの子はケレンの婚約者候補に違いない。あんなに可愛いのだものって」

「すきに言わせておけばいい。俺は絶対にあの子と婚約なんかしないから」

「ふぅん。でもいつか誰かとはするだろう?」

 どんな顔でそんな言葉を平然と言うのだろうと思ったが、ヨルドは至っていつも通りの態度だった。薄い笑みを浮かべた顔からはなにを考えているのかわからない。彼はケレンに想われていることを知らないのだから、と心の中で言い訳した。ヨルドの中でケレンはあくまでも、いつか誰かと婚約すると思われている。そのとき、この気持ちを言ったところで受け入れてはもらえないことを悟った。

そうだなと適当に答えると彼を伴ってその場から離れた。そこに居ても埒が明かなかったし、どうせアメリアがこの家に来ることは確定事項なのだ。

 このとき、ケレンは回避できる事柄と絶対的に起こる事柄があるらしいということに気づいた。おそらくここでアメリアとの邂逅を避けられても、事あるごとにふたりを出逢わせるイベントが発生するに違いない。そしてアメリアとの接触を避け続けていても、お互いが年頃になったら婚約の話が持ち上がるのだろう。それならばそのとき、婚約を避ける口実を準備しておけばいい。アメリアと婚約さえしなければ、少なくとも皇太子に目をつけられることもないはずだ。

 アメリアと皇太子を結ぶ。それが断罪回避の絶対条件だ。

 そう、思っていた。

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