【短編版】 モテすぎて拗らせてる美人4姉妹と暮らす事になったけど、俺も拗らせてるから大変です。~目が覚めたら義姉と義妹に抱きしめられてた~
空豆 空(そらまめくう)
第1話 目が覚めたら美人なお姉さんが一緒に寝てた
(!?)
まだ薄暗い朝、息苦しさに目が覚めた俺――
それは、いつもと違う枕のせいでも、慣れないふかふかのベッドのせいでもなく、同じベッドに美人なお姉さんが眠っていて、しかもその胸にしっかりと抱きしめられていたからだ。
やわらかな質量と弾力に押しつぶされて、酸素を求めて顔をあげてみれば、そこにはお姉さんのきれいな寝顔があった。
長いまつ毛に艶やかな肌、薄紅色の可愛らしい唇。そこから漏れる寝息は色っぽくもあるのに、少しぽってりとした頬のせいで可愛らしくも感じる。
(……どう、いう、こと!???)
あまりの状況に心臓がドクドクと自己主張しはじめて、顔に熱がじわりと込み上げた。脳内は寝起きにしてパニック状態で、今にも酸欠と高血圧で意識が飛んでしまいそうだ。
一体、どうしてこんなことになったのだろう。
俺は昨日普通にひとりで寝たはずで、目が覚めたらこの状況だった。まったくもって状況が飲み込めない。かといって、せっかく気持ちよさそうに眠っているのに起こすのも躊躇ってしまう。
そんなお姉さんの名前は
「んぅ、しいか、おきちゃった? もうちょっとねようよ、まだアラームなってないよー……」
むにゃむにゃと
ぎゅううっと、お姉さんの柔らかな質感に包み込まる。
(まさか俺のこと、
『
そう思った時、
「!!」
さすがに驚いてびくっと反射的に身体が跳ねた時、『え?』と小さな声を漏らして
反射的に見つめてしまった俺とパチッと目が合い、ぼんやりとしていた
「え!? しゅ、しゅうごくん!? え、わ、ごめんっ」
まだ喉は寝ぼけたままでありつつも驚いたような
けれど物理的に近いこの距離感で見つめ合ったままになっている俺は、頭が真っ白になって何と言ったらいいのか分からない。
すると、背後からも女の子の声が聞こえてきて、俺は心臓が飛び出るかと思うほど驚いてしまった。
「んんう~。もう、いーちゃん、うるさい。しいか、まだねるのー」
「うえぇぇえええ!???」
自分の声とも思えないくらいの変な声に自分で驚きながら、
(なに?? なんなの、この状況)
俺はさらに動揺しながら
「え、
すると起きたばかりの
「だーって。しいか、おにーちゃんといっしょに寝たかったんだもん。ね、もうちょっといっしょに寝よ? こっち向いてほしいな、おにーちゃん」
まだ眠気を帯びたままの甘えた声で言いながら、俺の身体を
そしてまた俺の身体にぎゅっと抱きついて頬をすり寄せると、おもむろに両手を伸ばして俺の頬に触れ、俺の顔の近くにその幼い顔を近づけ焦点の合い切らないぼんやりとした瞳でじっと見つめてきた。
「……朝からおにーちゃんかっこいい。ねぇ、おはよーのちゅー、しよ?」
そんなことを言ってくる
なんてことに気を取られているうちに、ぷにっとした感触が俺の唇に触れた。
けれどその感触に目を丸くする暇もなく
「こらっ
実は、昨日の夜にも俺は
それよりも、俺は
「あ、いえ、それより……
俺の問いかけに
「あ……えっと。ごめんなさい。夜中トイレに行った後、間違えちゃったみたい。昨日までここが私の部屋だったから……」
その言葉に妙に合点がいった。親の再婚により、俺と母がこの家に住むことになったから、俺にこの部屋を渡すために
もともと
「ああ、そういうこと……。びっくりしました」
少し冷静さを取り戻すように答えながらも、一番びっくりしたのは彼女たちが俺のベッドに寝ていたことじゃなく、それを嫌だと思わなかった自分に対してだ。
俺……ずっと女性に苦手意識があって避けてきたのに。それもこれも、家族になったからだろうか。
そう思いながらふと
……やっぱり気のせいじゃない。
他の人と同じように俺にも笑顔を向けてくれるし会話もしてくれる。けれど視線だけは、俺にだけ合わせようとしてこない。
なんでだよ。せっかく仲良くしようと思ってるのに。少し、寂しい。
抱きしめられて、髪を撫でられ頬を寄せられたあの感触は、俺を
「あ、えっと。じゃあ、部屋、戻るねっ。ほら、
そして
「えー。しいか、もっとおにーちゃんといたかったのに」
「えっへへぇ。おにーちゃん、だーいすきっ。また、あとでね」
子供らしくて愛らしいその表情に、少し素直さも感じる。
「ん。また後でね」
俺も
すると
「あ、そうだ、修吾君。朝ごはん、目玉焼きかスクランブルエッグ、どっちがいい?」
唐突な質問に。
「え? ……目玉焼き……がいいです」
反射的に答えた。
「じゃあ、半熟と完熟、どっちが好き?」
すると彼女の質問はさらに続き。
「えっと……半熟……です」
俺はやや戸惑いながら答えると、
「あ、いっしょー。私も半熟が好き。よし、今日の朝ごはんは半熟の目玉焼きにするねっ。じゃあ、また後で」
そしてにこっと俺に微笑みかけた
ただそれだけの瞬間なのに。ドキッと心臓が苦しくなってしまった自分に気付いてまた顔に熱が込み上げた。
「うあー」
誰も居なくなった部屋の中で、バフッとベッドに倒れ込む。
枕元からはふわっとイチゴのような甘い香りがして、確かにここに
(なんだよ。視線は合わせてくれないくせに、俺の好み聞いてくるとか。合わせてくれなかったくせに、ほんの一瞬だけ見つめてくるとか。なんだよ、それでいて微笑みかけてくるとか)
俺……今まで女性を避けてきたはずなのに。女性に興味すらなかったはずなのに。まさか義理の姉に対してこんな気持ちになるなんて。こんな気持ちになった相手が、義理の姉だなんて。
勝手にまたドキドキと囃し立ててくる自分の心臓の音がむず痒くて、俺は『あー!!』と叫びながら枕に顔を埋めた。
――実は、母の再婚によりできたきょうだいは、
けれどこの時の俺にはまだ、さらに賑やかになっていく気配を感じる余裕なんてなかったのだった。
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