さいごに一つだけ
・みすみ・
1
「ほな、まあ、新人研修なんで、そないにムズカシイ案件でもないし。ちゃっちゃと、やっつけましょか、ネルグイ君」
「はい、
期待の大型新人、モンゴル生まれのネルグイ少年は、ぎこちない日本語でこたえた。
宗教観ガバガバ、いやいや、さまざまな宗教をおおらかに
オレたち――、
だもので、最近では、配属先に日本地区を希望する海外出身者が多いらしい。ネルグイ君もそのひとり。
日本人以外を指導するのはオレにとっては初めてのことで、言葉の問題に不安はあるが、一人一台支給されている
「降りるで~」
言いざま、オレは、白い
「ま、待ってクダサイ」
ふり返ってちらりと見ると、ネルグイ君は大きな
(
青白い光のそばに、白と黒、二羽の大きなトリの降臨。
地上に無事に着いたので、オレたちはまた、もとの
オレたちのような者だけに見える死に
魂の
「はい、そしたら、ネルグイ君、このヒトの
畑の
日課の
ほかにひと気はない。
ひとの手による
「
ネルグイ君は、老人の横に膝をつき、そっとしわだらけの手を取る。
「おじいさんやない。そのヒトは『ハマナカ・トラオ』さんや」
すかさず、オレは訂正する。
「おぅ、スミマセン。――トラオさん、わたしたちは、この世を去るあなたの願いを、さいごに一つだけ叶えることができます。あなたの願いはなんですか」
老人の目がうっすらと開いて、ネルグイ君のすがたをとらえた。
「神さんの……、お迎えか……。ううっ」
トラオ氏の声は弱々しい。ネルグイ君は、聞き漏らすまいと、その耳を老人の口元に寄せる。
トラオ氏が、何かをささやいた。
ネルグイ君は、たくましい
「おまかせクダサイ」
と、大きな声で言った。
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