第6話 桜の木の下 前編

私は、友達以上恋人未満なあいつと約束をした。


 「お互いの夢が叶ったら十年後、この桜の木の下で会おう」


 それは、あいつがいつも言う冗談のようだった。

 でも、何処か顔が真剣で、あいつの顔の影がやけに黒かった。


 「いいけどさ、あんたの夢ってなんだっけ?」


 私は、言葉に笑みを含みながら答える。

放ったらかしになっていたあいつの第2ボタンがずっと気がかりだ。


 「写真家!」

 あいつは自信満々に答えて続ける。


 「みんなの思い出をのこしてあげたいやん」

 笑ってあいつは言う。

 学生生活が、これが終わったら二人はバラバラになるかもしれない。

 だからかな。なんだか凄くエモい。


 「私は先生になりたいなっ!」

 

 「なれんのかよ〜!」


 「成れるって〜!」

 

 私は頬を膨らましつつも、二人とも笑った。


 「じゃあこれあげるよ」

 そう言ってくれたのはあいつの第2ボタン。


 「また会ったらこれ返せよ」


 「わかった!また十年後」


 なんて無邪気な約束をした。

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