第25話 おじいちゃん先生
私の選んだ最悪の選択肢、それは37週まで妊婦検診を受けないという事だった。
そうは言ったものの本当に37週までお腹の赤ちゃんの確認をしないと言うのは不安でもあった。そこで上の子の時の里帰り出産まで診てもらっていた個人の産院に診てもらおうと思ってその産院に電話した。
「あの、2年ほど前に妊婦検診をそちらで受けていたみとしろと申します。今、30週で大学病院で診てもらってるんですが、2週間おきだと不安なので、自費でも構いませんので赤ちゃん診てもらう事出来ますか?」
「ああ、みとしろさんですね。カルテ確認しました。今、31週ですか?いいでしょう。診ますので今日の午後か明日にでも来てください。」
おじいちゃん先生は快く引き受けてくれた。
上の子の時も診てもらっていて、胎盤が低いと言う事で飛行機に乗る時にお腹が張りやすくなるからと薬を処方してくれたり、里帰り病院の病院用に細かく症状を書いたカルテを用意してくれた。
おじいちゃん先生を騙すのは心苦しいけど、赤ちゃんの事を思うとそうは言ってられない。だったらきちんと大学病院で診てもらえばいいだろという話だけど、その時はそれが一番なんだと信じて疑わなかった。
その日の午後に診てもらった。始めにエコーを診てもらった。赤ちゃんは元気に動いている。私は安心した。
次に内診をした。やはり胎盤は低いみたいだ。何とか胎盤が上がっている事を願っていたのだけどそうはいかなかった。
「胎盤と子宮口が2ミリ位しか離れていないからこれは予定帝王切開だね。2センチは離れてて欲しいんだよね。」
とおじいちゃん先生は言った。
「そうなんですね。」
本当はもう管理入院になるんだけど…と思いながらおじいちゃん先生の話を聞いていた。
「また、何か心配な事があったらいつでもおいで。」
おじいちゃん先生のお陰で赤ちゃんの確認も出来たし、また来週が32週だから検診に来よう。なんて考えながら帰り道に大学病院の予約センターに電話をして32週の妊婦検診を36週の日程に変更した。
そんな私は、次の32週の妊婦検診でおじいちゃん先生の所には行く事が出来なかった。
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