第7話 私は厄介者?
「あと、うちの病院は妊娠糖尿病の血糖値の検査が2回引っかかると管理入院になるんだけど大丈夫?」
ベテラン助産師がドヤ顔で言って来た。(様に見えた)
「……え?」
私は脳天カチ割られた感覚だった。待ってくれ。私が管理入院なんかしたら上の子(まだ2歳)の面倒は誰が見るんだ。私には妹が居るが正社員で仕事もしているので急に頼る事は難しい。その私の怯んだ表情を見逃さなかったのかベテラン助産師が何か言いたげだった。
「管理入院ってどのくらいですか?」
私は質問した。
「血糖が安定するまでなので個人差もあるから今、どれくらい言うのは出来ないかな。」
と2回目のドヤ顔で言って来た。(様に見えた。)
「みとしろさん、前回の妊娠糖尿病はインスリン打ってたから今回も恐らく妊娠糖尿病だと思うけど、それでもここで産む?」
と3回目のドヤ顔でニヤリと笑った。(様に見えた。)。
私はわざと大きくため息をついた。
「…ちょっと考えます。」
「もし、違う病院でお産されるなら紹介状を書きます。」
私のその言葉を待ってましたと言わんばかりに若い女医さんが言った。もちろん無表情で。
…悩む事無く答えは
「大学病院に変える」
だった。妊娠糖尿病は繰り返すのではないかという危機感だけはあった。産後の血糖値の検査でも、妊娠していないのに通常よりも血糖値の上昇具合が高かった。重症ではないが糖尿病予備軍として食事や運動に気を使ったりしなければいけない。今、妊娠している状態で糖負荷検査すれば血糖値は基準値オーバーになるだろうと素人の私にでも予想はついた。
「分かりました。」
私は、次に行く病院の名前を告げ診察を出た。あのベテラン助産師と無表情の若い女医さんは厄介者払いが出来てホッとしているだろうか。
そう考えるとなこの妊娠が何だか惨めに思えた。
帰り道、コンビニで甘い物でも大量に買い込んでドカ食いしようかとも思ったが悪阻で断念した。
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