第4話 産院選び

10月27日が予定日だから仕事は9月いっぱい位まで続けようかななんて、予定を立てていた。

妊娠12週までは不妊治療のクリニックで経過を見てもらえるのでそれまでに産院を探さなければならない。私は歩いて10分程の所にある総合病院に決めていた。1人目の妊娠糖尿病の産後の経過もこの病院で受診していたし、産科もネットで調べても良さそうで紹介状のある患者を優先してる大きな病院なので色んな事に対応しているだろうと考えた。


妊娠13週、クリニックから貰った紹介状を持って家から近くのK病院を受診した。

中待合に呼ばれ椅子に座って待っていると、見るからにベテランの助産師がやって来て、上の子の出産について聞かれた。前置胎盤で入院してた事、癒着胎盤で輸血した事、妊娠糖尿病だった事などを簡単に説明をした。ちょうど上の子の母子手帳も持っていたので見せると真剣に見ていた。何となくだけど

「うちでは無理かも~。」

と言っている様な感じがした。


診察室に入ると無表情の若い女医さんと先ほどのベテラン助産師が居た。


「前回での妊娠の時に前置胎盤で入院されてますし、妊娠糖尿病もあったという事ですが…うんぬんかんぬん」

若い女医さんが淡々と説明している隣でベテランの助産師さんが私の事を品定めしているみたいだった。

「前回の出産は大変だったみたいね。輸血もしたんですよね?」

ベテラン助産師が上の子の母子手帳を見ながら質問した。

「妊娠糖尿病もあったんですよね。」

また質問を被せて来た。

「はあ、まあ。」

私は前回の妊娠の事について尋ねられる事が段々と不快に思えて来た。


「前回の妊娠の経過から見て今回もハイリスクの出産になる可能性が高いと思います。」

無表情の若い女医さんはエコーで赤ちゃんを確認した後に淡々と説明した。

「はあ。」

まあ、あのベテラン助産師さんの質問の仕方から考えてそんな感じだろうなあ。とは思った。

「前回、出産された病院からカルテを取り寄せて、今回ここの病院で産めるかを検討したいと思います。」

若い女医さんは相変わらず無表情で説明した。


私は家から近いこの病院で産みたいのに!と怒鳴りたかったがグッと堪えた。

「ここでは産めない可能性もあるという事ですか?」

病院側が私を受け入れる事を拒んでいるのが伝わって来たので、私の態度は悪かったと思う。

「もし輸血になった場合、ここだとそんなにストックがないんです。それと年齢的な事も考えて何かあった時に新生児集中治療室がある大学病院を選択肢に入れた方がいいと思います。」


はあ?大学病院だって?通うの大変じゃん!上の子まだ2歳だからなるべく近くがいいんだよ!それに新生児集中治療室って何なの?漫画とかドラマでしか見た事ないっつーの!そんな所に私の子供が入院する訳ないじゃん!

と心の中で叫んだ。


「…そうなんですね。」

素っ気なく返事を返した。私はこんな話を聞いても何だかんだでここで産めるだろうと思っていた。だって前回の出産も別にそんな大変じゃなかったし、前置胎盤だのなんだのって騒いで結局、胎盤の位置上がって普通分娩出来る様になったからだ。


何をそこまで拘るんだろうとかるーく考えていた。

その日でもう産院が決まると思っていたので自分の中で調子が狂った。




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