追放されたけど神様だったので国を創って繁栄させます~転生幼女が奮闘した結果、最強国家になってみんなから崇拝される存在になるようです~
鳥助
1.追放
「シア王女には……神の施しがありません!」
大聖堂の中に響き渡る大司教の言葉。その言葉に、この場にいた人たちは騒然となった。大司教の近くにいた王様が鋭い形相で大司教に詰め寄る。
「それは誠か!?」
「はい! 嘘ではありません! 現にこの水晶には何も移されておりません!」
「な、なんてことだ……!」
大司教が王様に水晶を見せると、それを見た王様は頭を抱えてふらついた。すると、周りにいた人たちがささやき合う。
「王族から忌み子が生まれるなんて……」
「生まれは庶子だからな、可能性は大いにあった」
「神に見放された者が神聖な場所にいることは許されない」
私を見る目が以前よりも増して厳しいものになった。まるで、人ではないような目で周囲の人が私を見てくる。
五歳になると行われる、神の施しと呼ばれるスキルを授与する特別な日。この日、全ての子供は教会に行き、神の施しの結果を神官から教えてもらう事になっている。
今後の人生を左右する大きな行事だ。スキルの内容次第で楽な人生になるのか、苦労をする人生になるのか決まる。その中には、スキルを授からない子も出る。その子の事を神に見放された忌み子と呼ばれていた。
私が……その忌み子? その事実に愕然とする。だって私は、この運命の日に賭けていたのだから。立派なスキルを貰って、認めてもらうはずだったのに!
私の母は王宮の掃除をするメイド、庶民の生まれだった。見目は良い方だったらしく、その姿を王様は気に入って無理やり関係を迫った。その結果……私が生まれた。
私を生んだ母は口止め料として金を握らせて市井に戻し、私は王宮の中で秘密裏に育てられた。一応王女だったのに、その扱いは杜撰なものだった。生活に必要な物は最低限、独房とも言える狭い部屋で生きながらえていた。
私を擁護する人は誰もいなかった。世話係である乳母やメイドは私と距離を置き、人との繋がりは希薄。そんな寂しい日々を五年間堪えてきた。
それもこれもこの日の為。神の施しで良いスキルが貰えると、待遇が改善されると聞いたからだ。それを聞いた日から毎日お祈りをした。どうか、良いスキルが貰えますようにって。
そして、とうとう来た神の施しの日。大聖堂に着くと、そこで待っていたのは初めて見る父親……王様がいた。言葉は交わさなかったが、それだけで嬉しかった。きっと、今日は良いスキルが貰える、そう思っていた。
なのに、結果はこれだ。王様は頭を抱えて項垂れ、僅かに連れてきたお付きの人たちは私を見下すような目で見てくる。私の願いは届かなかった。
「王様……いかがいたしましょうか?」
いつまでも項垂れる王様にお付きの人が声を掛ける。その声に反応した、王様はゆっくりと顔を上げた。その顔は怒りの形相に変わっている。
「くそっ、こんな生き物にスキルを期待して損をした!」
「ですが、良かったですね。王女の存在は秘密……表には無いものとなっています」
「あぁ、お前の助言を聞いてよかった。やはり、下賤の者はどこまでも下賤だな」
「これで利用価値は無くなりました。首を刎ねる処分にしますか?」
首を刎ねる!? 私……殺されちゃうってこと!?
「亡き者にするのが手っ取り早いが……神に見捨てられた者は伝染すると聞いたことがある。ここで死なれると、次生まれてくる子供が同じになってしまう。それは避けたい」
「でしたら、国外に追放しましょう。見捨てられた土地がありますし、そこへの追放が妥当でしょう」
「国外追放か、それはいい! おぞましい血を俺の土地に流すわけにはいかないからな! では、即刻その様にいたせ!」
「かしこまりました。お前たち、その者を捕らえよ」
お付きの人が周りの人に命令をすると、兵士たちが私を取り囲んだ。怖くて身を竦ませていると、頭に重い衝撃が走った。そして、意識が薄れていく……。
◇
「下りろ!」
馬車のドアが開かれると、強引に手を掴まれて外に放りだされた。
「神に見放された忌み子……なんとおぞましい! 王都からの長旅で息が詰まる思いだった。だが、それも今日まで! さっさとあの森に行け!」
監視役の従者の罵声が聞こえる。体の痛みを抑えて起き上がると、私の後ろには広大に広がる森が見えた。私……これからあそこに一人でいかないといけないの? そう思うと、怖くなった。
出来れば人のいる町……いいや村でもいい、人がいるところに行きたかった。だけど、土地勘のない私には分からない。だから、その従者に聞こうとすると、従者はそそくさと馬車の中に戻り、馬車は無常にも去って行ってしまった。
離れていく馬車を見て、とうとう一人になってしまった。いいや、いつも一人だったから日常と変わらない。元から私は見捨てられていたのだから、それが本当に見捨てられただけのこと。
でも、これからは一人の力で生きていかなければならない。こんな五歳の体で出来ることは限られている。何も力がないのに、本当に生きていける? それを考えると、言いようもない不安が押し寄せてくる。
独房みたいなところに押し込められて、この世界で必要な知識もない。体力だってないし、いざという時のための身を守る手段もない。私には何もなかった。
……いいや、一つだけある。それは前世の記憶。日本で生まれ、そこで働いてきた知識はある。それを活用して、なんとか生き抜くことはできないだろうか?
諦めるな。きっと、道は開かれるはずだ。私のできることは考える事。生きるために考えることを止めなければ、きっと生きていける。
考え方を変えよう。追放されたけれど、晴れて自由の身になったんだ。独房のような部屋から解放され、私を縛り付けるものはない。これからは自由に生きていけるんだ。
そんな風に考え方を変えると、体に力が漲ってきた。そうだ、前向きになろう。そうしたら、きっと良いことが起こるはず。
スキルがないのが何だっていうんだ。私は生きている。生きていたら、なんだってできる。どんな事も出来るに、何者にだってなれる。私には選択の自由もあるんだ。
「よし、生きよう」
こんなところで死んでたまるか! 今世は幸せに生きてやる! 前世よりも、この五年間よりも……良いものにしてやるんだから! 待っていろ、異世界!
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