出題編:2
「どういうこと?なつみ。彼に…望月くんにあなたから話を通しておいてくれるのではなかったのかしら?」
「い、いつきちゃん…あはは、あのう…これはそのう、あはは」
部室に入ってくるなり北岡先輩は、自己紹介もほどほどにさっさと席に着くと、いきなり本題に移ろうとした。
そして、あまりにも我々に話が通じないことに気づき、その原因がなっちゃんにあると瞬時に見抜き、こうして彼女を詰問しているというわけだ。
「えーと、その…ごめん、別のこと話しててつい…忘れてた」
なっちゃんがぺこりと頭を下げると、北岡先輩は小さくため息をついた。
「まったく…望月くんに最初から事情を説明していては手間がかかるから、先にあなたから話しておくって言ってくれたのは、なつみでしょ?」
「はい…」
「だからあなたにあらかじめ事情を話しておいたのに、これじゃかえって二度手間じゃない…当てが外れたわ」
「あ、あははは…ご、ごめんなさい」
流石のなっちゃんも、タジタジとなって平謝りだ。そりゃあ、そんな重要な任務を請け負っておきながら、雑談してすっかり忘れて帰ろうとしてたんだから、責められても仕方がない。
「まあいいわ」
なっちゃんが素直に謝ったので、これ以上責めても仕方がないと思ったのだろう。もしくは責めたところで時間の無駄だと思ったのか。
北岡先輩はもう一度小さくため息をついただけで、なっちゃんから視線を外し僕の方へ向き直った。
そのキビキビとした所作と真っ直ぐに伸ばした背すじ、そして同じくらい真っ直ぐな視線に、僕もなんとなく緊張して座り直す。
「あらためて事情を説明するわ、望月くん。私は美術部の部長をやっている、北岡 斎。いつきで良いわ」
「あ、はい…どうも、いつき先輩。僕のことも鼓太郎で構いません」
「わかりました。よろしく、鼓太郎くん」
「あたしのことは、なつみと。そう呼んで、鼓太郎くん」
いつき先輩に許されたと見るや、もうふざけてるなっちゃんのことは無視して、
「それで、僕らに調査というのは…?」
と水をむけてみる。
「美術部のことで、何かお困りごとですか?」
「ええ。…あなた、呪いの絵の話って聞いたことないかしら?」
「…なっちゃんから少しだけ、そういう噂があるということだけ、さっき聞いたところですけど」
実際にはほぼ何も聞いていないに等しいが、少しはなっちゃんのフォローをしようと、そんなふうに返した。
けどおそらくいつき先輩はそのあたりもお見通しなのだろう。ちらりとなっちゃんを一瞥してから、
「ことの発端は、一週間前のある晴れた…そうね、今日と同じような天気の放課後だったわ」
そうして窓の外を見ると、少しだけ顔を顰め、思い出したくないことを思い出すような表情を作る。
しかしそんな間も一瞬のことで、すぐに僕らの方に向き直り、元通りキビキビとした口調で話し出す。
要点をまとめた、とても分かりやすい話ではあったけど…その内容はとても奇妙で、要領を得ない…分かりやすさとは程遠い、不可解な話であった。
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