第2話 面接

 一生のお願いは何度聞いたかわからない。言葉は軽いし、ノリも軽い。だけど、なぜか極度の人見知りのつむぎは困ったらいつも私を頼ってくる。


「コンカフェの面接なんだ! でもちょっと緊張しちゃって」


 私はコクコクとうなずくと、いつも以上に気合の入った化粧をした紬の横を歩く。


 紬と私は趣味が似ていた。推しがいるし、アイドル好きだし、ネット民だ。


「あ〜大丈夫かな? 髪型とか服装変じゃない?」


 髪型はツインテールでまとめ、全体的に白でまとめた清楚な服装。あとモコモコ。私は、かわいいよという代わりにうなずくと小さく親指を上げた。


「改めていろいろ見たんだけど、やっぱり王道がいいと思ったんだよね! 古き良きというかメイド喫茶!」


 コンカフェ好きでもある紬のせいで、私は高校のときからいろんなお店に連れ回された。王道のメイドはもちろん、アイドル、アニソン、男装。花魁に海軍やヴァンパイア、ナース……コンセプトは細かくたくさんある。


 私はしゃべれないし、初めましてのところは紬もサイレントモードになるから、お給仕してくれるキャストさんには気を遣わせてしまったかもしれないけど。


 紬はずっと憧れていた。「高校を出たら、コンカフェ嬢になる!」と意気込んで。


 SNSでしかしゃべれない私には絶対に叶えられない夢を叶えるんだ。一緒に行って応援だけでも、と思った。


 だけなんだけど……。


「おっ! 友達同士で面接に来てくれたの? じゃあ、1人ずつ話しよっか」


 なぜか私まで面接することになってしまった。

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