【かつて妹だった兄のひとりごと】
やあ、僕はギルノール。
かつての名前は
ひょんな事からこの世界で、女から男に転生したある意味不運な奴だよ。
お兄ちゃんには何とか誤魔化して終わったけど、お兄ちゃんがこの世界に来てしまったのは
ほんとはね、
大好きだったお兄ちゃんも一緒にって、
交通事故で死んだ
だって、ほぼ見知らぬ土地で、最初からまだ生きなきゃだし? そんな場所に1人放り込まれたって、無事に生き延びれるかどうか分からないじゃない。
あ、ちょっと、そこ。お前なら生き延びれそうだって言った奴、手を上げなさい。別の大陸まで殴り飛ばしてあげる。
あのね、いくら
思ってた通り、ヤバい世界だし家族関係希薄過ぎて笑うしかない。家族に縁ないのは今世もかって、溜息吐いたよね。
そして、神様っぽい人の話、7割が嘘に近い感じっぽいしねぇ。
それにね、この世界。
お兄ちゃんなら、順応出来るだろうし、何より彼等に紹介すれば気に留めてくれるはず。
うんうん、今のところ順調、快調、絶好調!!
『ネェネェ、ギルノール。コレ、ナァニ?』
「あっ!? ちょ、リィタ! それ、何処から取り出したの? 食べないで? いや、食べるな! 頼むから!! 漸く書き上げた新作なんだよぅ!」
『シンサク? ナニソレ、オイシイノ?』
「まあ、僕らにとってはある意味美味しい話かな、って、取り込むな!! せっかく1日で書き上げたものなのに!」
『ギルノール、コレマズイヨー。ナンダカヨクワカラナイケド、マズイヨゥ』
「……紙を食べて不味いって言ってるんだろうけど、内容がマズいって言ってるように、不思議と聞こえるなあ」
お兄ちゃんには書いてないと言ったが、此方でも、それの類な執筆はしているんだよね。読者が全くいないというわけでもなく、それなりにいたりする。
まっ、広めたの、僕なんだけど!
『コレ、リティシアニモミセタホウガ、イイカモ。モッテイコウ!』
「まっ! 待って待って!! それ見せたら絶対にヤバいやつ!! 僕、嫌われちゃうって!!」
悦に浸っていれば、リィタを含むスライム達が原稿をあさり、持ち去ろうとしているんだけど!? 誰だ、こんな好奇心の塊みたいなスライムを生み出したのは! ……あ、僕か。
って、こうしている場合じゃない。
せっかく落ち着いたお兄ちゃんとの日々が台無しになるのは、避けたい。何としてでも止めねば!
スライムが跳ね跳び、ギルノールが慌てながら、去っていった部屋に1枚の紙が残されていた。
お兄ちゃんは
虐められていた小学生の頃、虐められる方が悪い、と
小牧の生まれた境遇を知っていたからか、両親の仕事が忙しかったから頼まれていただけだったのか、分からないけれど
両親もだけど、お兄ちゃんからの愛情が
そんなお兄ちゃんと離れたくなかったというのは
両親の不仲が日に日に増していくなか、お兄ちゃんに縋りたくなったのは、駄目なことですか。
文字はここまでで途切れている。
ぽよんぽよんと跳ねながら、スライムが1匹戻ってくる。落ちていたそれをぷるんと取り込み、そのままその場から溶けて消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます