強制誘発剤

 提出物を瑠衣と一緒に出してきた。

 その帰りに瑠衣は空き教室から誘発剤の瓶を持った学生にぶつかってしまいモアを起こしてしまった。


「はっ……ひっ……んん琉架くんはぁ……はぁ……」


 ぐらっと倒れた瑠衣をキャッチしながら座り込んだ。


「Ω捕獲完了!」

 と頭上から声がした。


「は?」と向くとすぐに瑠衣と引き剥がされ教室のドアを閉められた。



 瑠衣の上に跨がる男はαではない、βだ。



 見たところ上履きの色が違うから3年のようだ。



「うひょーやっぱこの誘発剤エキスよく効くな」

「香りたっまんないね」


「ひゃぁ、やだ、やだ!! 琉架くん!!」

 瑠衣を助けないと



 僕は思いっきり突進した。

 よろけて先輩たちが倒れた、今のうちに瑠衣を起こし教室から逃がした。


「瑠衣!! 早く保健室か璃亜武のところかトイレに逃げろ!!」と言って逃がした。

 教室のドアの前に立ち先輩たちを行かせないように食い止めている



「はぁ?? まじかよΩ逃がすβとかなんだよ、わけわかんねぇ!!!」

「俺たち3年ってこと分かるよね?」

「てかあのままのΩ放置したら誰かに喰われるだろ、こいつ馬鹿だな」



「ねぇ先輩たちΩよりも僕がご奉仕するよ?」

「はっ、生意気いってんじゃねぇよ」

 ガツンとドアに頭をぶつけた。


 僕だって嫌だけどでもΩの匂いにあてられたβをどうするかなんてこれしか方法がなかった。

「なぁなぁΩエキス余ってねぇの?」

「ああ、これか」

「これを垂らせば匂いはつくんじゃねぇ?」


「お仕置きプレイだな」

 霧吹きみたいな噴射口から噴射したものは顔にかかり息が急に苦しくなった。


「はぁ……はぁ……」

「んじゃぁまぁ3人相手できるのか試させてもらおうか」

「ふぅーふぅー」

 体が痺れて動けない。

--------

「はぁ……はぁ……」

 琉架くんが逃がしてくれた。

 でも僕このままじゃ誰かに襲われちゃう……。

 どうしよ


「ひっ!?」

「栗花落!!! どうした大丈夫っ…この匂い」

「やだ、怖い!! お願い襲わないで」


「お前、モアか、こっち」と手を引っ張られた。

 どこに連れて行かれるのか分からない、もしかしたらこのまま喰われて番にさせられてしまうかもしれない。

 そんなのいやだ。



 保健室につき先生に事情を話した。

「緊急用キットがあるからそれを使うね」

「はい」


 小鳥遊くんが保健室を出て行こうとした時僕は

「ま……待って、お願い、琉架くんを救って」

「琉架? 琉架はどこにいるんだ?」


「え、えっと3階の奥の空き教室だったと思う」

「分かった」


 え? 今の小鳥遊くんの顔なに?

 あんな顔見たことない。

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