怪葬アンダーテイク

涼幹

序章

ねえ、霜妻しもつま家って知ってる?


 うーん...何だっけ。名前だけなら知ってる気がする。


 えー知らないの? 常識なんだよ、界隈では。


 知らないと思って聞いたんでしょ? てか何その界隈。

 

 別に何でもいいでしょ? まあいいや、その霜妻家について話すね。


 うん、よろしく。


 その霜妻家っていう一家が有名になったのは、五年前の戦争の直後で、説によると戦争を起こした犯人と何か関係があるらしいの。


 “何か”って何なのよ。...でも、ちょっと思い出したかも。霜妻家って確か“女の子しか産まれない”っていう話の家族だったよね?


 お、知ってんじゃん今言おうとしたのに。その女の子しか産まれないって話にまつわる事なんだけど、霜妻家に新しい赤ちゃんが産まれたらしいの。しかもちゃんと女の子。でもすぐにお母さんが死んじゃったらしいのね。


 ...待って、次あなたが言うこと当てるわ。“死んじゃったお母さんが怪奇かいきになってその赤ちゃんを襲った”...これでしょ!


 ねえ何で当てるのー? 面白くないってそれ。でもまだ続くよ。その赤ちゃんは死ななくて、そんで行方不明になっちゃたって話。


 いや絶対死んじゃってるでしょ。


 それが違うんだなー。私の見解では、お母さんの怪奇が赤ちゃんを守るために“憑依”して今でも守り続けていると考えているわ。


 でもそんな怪奇いるのかなー?


 その怪奇に名前を付けるなら“母性の怪奇”。私の知る限り、強大な能力と母性を持ち合わせた最強の怪奇よ。子供を守るためならどんな相手だろうと死ぬまで追い続けるらしの。


 なんでそんなこと知ってるの?


 ん? そりゃあ——

 界隈では常識ってだけ。

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