眠る少年トラン

第8話 魔物戦闘訓練3 時間稼ぎ

8話　魔物戦闘訓練3 時間稼ぎ

ベルグは魔物の攻撃を受け流すことに専念し、その後方からトランが魔法で狙撃するという形になっていた。

魔物の毛皮は硬く、ベルグの剣ですら貫くことができなかった。

ガキン！

ガキン！

ドーン！

周囲に激しい戦闘音が響く。

「、、、厳しいな」

（これ以上強く振ると剣がもたない。）

ベルグは厳しい表情をしている。

トランが声をかける。

「おい！あそこに誘導できるか？」

「考えがある」

トランの指示した場所には崖があった。

ベルグはうなずく。

ベルグはトランの考えがわかった。手段はわからないが信じるしかない。

ベルグは魔物の攻撃を受け流しながら後退していき崖に誘いこむ。

ベルグは崖の淵に追いやられた。

その瞬間ベルグの剣が魔物の攻撃に耐えきれず折れる。

魔物は笑ったように見えた。

魔物は腕を振り上げる

（まずい！ベルグは腕でガードする体勢をとる。）

その瞬間

「伏せろ！！」

トランの叫ぶ声が聞こえる。

トランの声に反応しベルグは伏せる。

魔物の振り上げた腕は止まらない。

、、、

次の瞬間、トランの魔法が発動する。

「ファイヤー！！」

「！！」

ベルグは驚く。

トランの魔法が通常よりもかなり小さかったからだ。大きさは10cm程。

通常のファイヤーは直径50cm程である。術者の魔力量によって多少の違いはあるが、ここまで小さいファイヤーをベルグは見たことがなかった。

魔物に魔法が着弾した瞬間、、、

凄まじい爆発的が起こる。

ド、、、カーン！！！！！！

バキ！バキ！

轟音が響きわたる。

爆風で周りの木々が薙ぎ倒され、、、

魔物は、、、

爆発の衝撃で吹き飛び崖から落下する。

、、、

沈黙が流れる。

伏せていたベルグが起き上がり、魔物が落ちた崖を確認する。

「はー、、、助かったよ、、、」

、、、

「、、、疲れた」

トランは膝をつく。

ベルグは先程の魔法について聞く

「さっきの魔法って・・」

ザザザッッ！！！

「「！！」」

崖から触手のような物が現れベルグの足を掴む。

トランが叫ぶ「おい！！後ろ！！」

ベルグの反応は早いが折れた剣では触手を振り解くことができない。

ベルグは崖に引き摺り込まれる。

トランが走る。

間一髪でベルグの手をつかむが、触手の力は強くトランごと崖から投げ出される。

（、、、死んだな）

トランは心の中で思う。

二人は深い谷底に消えていった、、、