学園召喚バトロワなのに、僕だけ召喚できません

黒犬狼藉

第1話

 汝、我が御手となりて。


 六天熾烈より織りなせ。


 我が言霊は四大元素を司り。


 即ち御殿身体の御所となる。


 さすらば我が願いに応え給え。


 七天より雷鳴たる、我が剣よ。



『応えよう、汝が腕として。応えよう、我が身を剣として』



=====


 僕は殺されかけている、訳も分からない力で。


「なん、だよッ!! フザケンな!!」


 飛んでくるナイフに怯えながら、階段の端へ身を隠す。

 学校終わり、教室でまかり間違って寝て居た結果がコレだ!!

 日頃の獣狩りゲームに明け暮れていた弊害ともいえる、どちらにせよ起こさなかったクラスメイトと担任に災いあれ!!


 というかそんな私怨なんてどうでも良いんだ!! 重要なのは今、僕が殺されかけ要るっていう事実だけ。

 近くの教室に転がり込み、適当な机でバリケードを作って箒を構える。

 武器としては頼りないが、何もないよりはマシ……。


「なんとも貧相な剣だな」

「ッ!!?」


 どうやら、バリケードは無意味だった。

 ハイレグビキニアーマー、つまりソシャゲあるある防御力皆無装備を着込んだ女騎士が僕の首に剣を突き付けていた。

 殺意が限界突破している、窓を突き破って逃げたいがここは三階。

 まぁ、死ねる。


「それで、どうやって私を殺すのだ?」

「ハハハ、殺すなんて滅相もない。野蛮な武力の闘争はほどほどにして、崇高聡明な頭脳を活かした弁論で語り合いませんか? ほら丁度良く椅子もあることですし」

「面白いことを言うな、私は弁論が嫌いなんだ」

「暴力最高暴力万歳!! 僕を殺さないで!!」


 すごいだろう、多分いまの僕の手はこの世のあらゆるドリルよりもクルクル回る。

 冷や汗を全力で掻きながら、ジリジリと後ろに下がる。


 現実的に考えて三階から落ちれば普通は死ぬ、だが窓の外には木が生えていた。

 そして足から地面に付けば、生き残る可能性も十分ある。

 そのワンチャンにかけて、飛び降りるか?


「考えるまでもないッ!!」


 少なくとも、このままで過ごすよりもワンチャンある!!


 全体重をかけて、右ひじで窓ガラスを叩き落下防止用の棒を掴んで飛び越える。

 この行動は彼女にとっても予想外のようで、慌てて僕を見下ろしている姿が見えた。

 次の瞬間、激しい衝撃が連続する。

 木が、木の葉と枝が僕の体を叩く。

 内臓を通る衝撃、呼吸ができッ!!


「嘘、だろ……?」


 幸運、幸福であったのは即死しなかったこと。

 運よく木に引っかかり、即死しなかったことが唯一の幸運。

 では不幸は? そんなの決まってる、あのハイレグビキニアーマーも当然の様に三階から飛び降りてきたこと。


 僕の体に熱が走る、熱い。

 熱さの中に冷たさもある、金属質な冷たさ。

 刺されている、そう認識するのは遠くない。


「手間を賭けさせやがって、まぁ面白いから構わないか」


 鈍い音と共に、剣が引き抜かれ体が地面にぶつかる。

 痛みはすでにない、そのはずなのに痛みが全身を駆け抜けた。

 顔面が砕けた感触がある、体は震えて仕方ない。

 死んだ、確信は間違いない。

 そのはずなのに、そうであるはずなのに。


 なんで、僕は立っている?

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