第4話

ちょっと言いすぎたかな?



もしかして、もう戻ってこない?



ケンカは今までにも何度かしたし、たぶん大丈夫だと思う。



月末に5万円返すって言ってたしね。



涙をティシュで拭いて、鼻を思いっきりかんだ。



むしゃくしゃした気分になり、ピザのほかにもスナック菓子まで出してバリバリ食べた。



***



「うわっ、最悪!」



翌日ニキビはさらに増えて、赤く腫れていた。




尚也のこともかなり心配になり、仕事帰りにすき焼きの材料を買って彼のマンションへ向った。



お金がなくて、ろくな晩ご飯しか食べてないに違いない。



男のハートは胃袋でつかめって言うしね。



尚也が住んでいる賃貸マンションのエレベーターに乗り、7階を押した。



7階フロアに着き、手前から二番目の702号室のブザーを鳴らす。



続けて2回鳴らしてみたけれど、なんの応答もなかった。



まだ、仕事から帰ってないのかもしれない。



昨日のことがあっので、電話をしそびれてしまったのだ。



美味しいすき焼きの匂いで、驚かせてやりたい気持ちもあった。



すき焼きの材料を切って、尚也の帰りを待っていよう。



そうすれば機嫌も直って、昨日のことも許してくれるだろう。



スペアキーを使ってドアを開けた。



玄関ドアをあけると、黒のパンプスが目に飛び込んできた。



あ、、



と、思ったのもつかの間。



「バカ! 勝手に入って来るな!!」



尚也の罵声が飛んできた。



その後ろから、



「尚くん、どうしたの? 誰?」



尚也の背後から顔を出したのは、まだあどけなささえ感じられるような、可愛らしい女の子だった。



無言でドアを閉め、慌ててエレベーターに乗った。



マンションを飛び出し、泣きながら全速力で来た道を走った。


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