第17章:星の王国の記憶

 光に包まれたエリオスは、まるで時空を超えたかのような感覚に陥っていた。足元には確かに大地があるのに、宙に浮かんでいるような不思議な感覚。そして、目の前に広がるのは――かつて滅びる前の星の王国の景色だった。


 「これが……過去の世界?」


 エリオスは思わず呟いた。


 目の前には壮麗な城がそびえ立ち、空には美しい星々が輝いている。まるで星そのものが王国を守っているかのような、幻想的な光景だった。


 「ここは、星の王国が滅ぼされる直前の時代……」


 背後からカイロスの声が聞こえた。


 「あなたも……この記憶の中に入れるのか?」


 「いや、私はお前の意識に共鳴しているだけだ。お前が見るべき記憶を導いているに過ぎない」


 エリオスが視線を戻すと、城の大広間に王と騎士たちが集まっていた。その中央に立つのは――エリオスの父、アルデバラン王。


 「父さん……!?」


 彼は壮年の姿をしていたが、確かにエリオスが幼い頃に見た父そのものだった。


 「星の力を持つ我々は、闇の侵攻を防がねばならない」


 父の厳かな声が広間に響く。


 その瞬間、大広間の扉が激しく開かれ、兵士が駆け込んできた。


 「陛下! 闇の使者が攻めてきました!」


 ――ズゥゥゥン……!


 突然、王国全体が揺れ、空に黒い亀裂が走る。その奥から、まるで奈落から現れたかのような黒い影が滲み出してきた。


 「これは……!」


 エリオスは思わず息を呑む。


 黒い影の中から現れたのは、漆黒の鎧に身を包んだ《闇の王》と呼ばれる存在だった。


 「我が名はノクトゥス。星の光が消える時が来た」


 その声が響いた瞬間、王国の空にかかる星々の輝きが次々と薄れ、王国の守護結界が崩れ始めた。


 「そんな……!」


 エリオスは思わず叫ぶが、これは過去の記憶。どうすることもできない。


 王は剣を抜き、騎士たちに向かって叫ぶ。


 「守るのだ! 星の王国を!」


 騎士たちが一斉に剣を抜き、闇の軍勢に立ち向かう。激しい戦闘が始まり、王国は炎に包まれていった――。

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