深夜の推しイベントが尊すぎて今夜は眠れません! 【KAC2025-5】
🐉東雲 晴加🏔️
🎉KAC参加作品🎉 深夜の推しイベントが尊すぎて今夜は眠れません!
「よし! 課題も終わった! お風呂にも入った! 飲み物も用意した!」
華の金曜日。
私、山本 葉月は準備万端でこの時を迎えた。
何故なら、今晩は毎週楽しみにしている推しアーティスト『
え? 私の推しは二階堂 ヒカルじゃないのかって?
ノンノン!
もちろんヒカルくんも推しではあるが、v.i.eの方がファン歴は長いのだ!!
v.i.eと言うのはオーシとchikageの二人組の男性アイドルユニットで、一応括りはアイドルなのだが、その圧倒的なダンスの技術と歌唱力で有名アーティストからの楽曲提供も多く、今若者の間で人気爆発の二人組である。
私は毎週金曜日の23時からの二人のレギュラー番組を私はとても楽しみにしている。この時間は何ものにも代え難い!! 準備万端にして、いざ! スマホセット!!
『こんばんは―! ハイ! 今週も始まりましたv.i.eの二人による宵の宴。オーシです!』
『chikageことチカでーす』
わーい! 相変わらずイイ声〜♡
v.i.eの二人は、見た目はちょっとチャラいんだけど、曲がはじまると途端に雰囲気が変わってキレキレのダンスをしながらの歌唱は本当にカッコイイ。ラジオでの会話も、バラエティに富んでいてとても面白いのだ。
『さあ、今日は月に二回のシークレットゲストディ!』
『本日のゲストを紹介しちゃうよ!?』
「待ってました〜!!」
私はスマホの前で歓声を上げた。
v.i.eのラジオ番組では、二週間に一度、ゲストを招いて座談会をするのだ。その際のゲストは当日までシークレットで、誰が来るのかは二人にしかわからない。ラジオは後でもアーカイブから聞けるが、わざわざリアルタイムで聴くのはこのシークレットゲストコーナーのせいでもある。
『本日のシークレットゲストは……』
うんうん!
『俳優の二階堂 ヒカルさんでーす!!』
「は……はええええええ!? おぐぅっ!」
え? え!? 推し!? 推しが増殖したんだけどぉおぉ!?
私は動揺しすぎてスマホを置いたテーブルに足を思い切りぶつけた。
『二階堂 ヒカルさん……いや、もうヒカルくんって呼んじゃうけど! ヒカルくんは俺等と同じ年なんだよねえ』
『どうもこんばんは〜二階堂 ヒカルです。よろしくお願いします』
『ヒカルくん畏まらないで(笑)ヒカルくんはお兄さんである作詞作曲家のkooさんに楽曲を提供してもらった縁で実は以前から交流があるんだ』
え!? 初耳、初耳です! 確かに楽曲提供してたのは知ってたけど、ヒカルくんと交流があるのは知らない!
新事実に驚きを隠せないが、三人が以前から知り合いだったのは嘘ではないようで、その後のトークも軽快に進んでいく。
『ヒカルくんはさあ、来年の大河ドラマの主演を決めたって先日発表されてたけど……若手俳優の中ではいまや天下無双って感じだね』
『いやいや、とんでもない。日々先輩や周りのスタッフに勉強させてもらってばかりですよ』
『またまた〜! 大河主演が決まった時も嬉しかったと思うんだけど、最近プライベートで何か嬉しかった事とかある?』
お、きたきた! v.i.eのゲストのプライベートを聞くコーナー!
このトークコーナーがゲストの自然な普段の様子と、それを受けたv.i.eの率直な感想が聞けて楽しいコーナーの一つだ。
ヒカルくんは『んー……そうだなあ……』としばらく悩んだ後に『あ!』と話しだした。
『そう言えばね、先日高校時の友人にお守りをもらったんですよ』
ん??
『お守り?』
『はい。オレ、ご存知の通り高校は中退してるんですけど。高3の時のクラスメイトとは何人か今でも仲良くしてて』
急に始まった学生時のネタに、私は心拍数があきらかに上昇するのを感じた。
『先月久々に会ったんですけど、仕事頑張れよって芸道成就のお守りをくれたんですよね〜』
えー! 優しいね! とチカが感心したが、私はとても心穏やかには聴けなかった。
(お、お、お守りって、お守りって……アレ……!?)
『オレ二回留年してるので、歳も違うんですけど……最後の年の友人は凄くよくしてくれて……今でもオンラインで喋ったりするんですよ』
今日のヒカルくんは番宣等でテレビに出ている時よりも声が柔らかい。
ああっ、きっと顔も緩んでるんだろうなあっ! ラジオで顔が見られないのが恨めしいっ!
『へー、全国の女性ファンなんかはそのお友だちが羨ましいだろうね』
『ヒカルくん、オフとか空き時間はわりと寝てるイメージだけど』とオーシが裏トークを繰り広げてヒカルくんが『やめてくださいよ〜!』と返して盛り上がる。
(ヒ、ヒカルくん……! 彼はめちゃくちゃ乙女してたよ! あなたの為に悩みながらそれ買ってたよ……!!)
誰も知るはずのない、私だけが知っている彼をヒカルくんに伝えたい……! 伝えたいけど私はいわゆるモブ! ただの壁!
ああ……!!
一人部屋で悶える私は端から見たらただの変態だ。一人であるからかまわないが。
このなんとも言えぬ感情を、誰かと共有したいがそれはこの三人のファンとして、プライドをかけて墓場まで持っていく……!! ヒカルくんとあの黒髪の彼の幸せを願って……!!
私は天に向かって誓うと拳を握りしめた。
『……そしたらこの辺でヒカルくんに曲のリクエスト貰っちゃおうかなあ~』
『なんかオススメとかある?』
やっぱり普段もkooさんの楽曲とか聴くの? と聞かれてヒカルくんは『んー』としばし考えた。
『もちろん兄の楽曲も聴きますし、お二人の歌も聴きますよ。オレは歳の離れた兄弟が多いんで、その影響で聞く曲も結構幅広いですね』
『え〜、じゃあ最近の流行り以外からのリクエストもらおうかな!』
オーシの言葉に、ヒカルくんは『じゃあ……』と答える。
『結構前の歌なんですけど……オレ、バラードがわりと好きなので。navy&ivoryさんの花束〜Bouquet〜で』
ヒカルくんのリクエストに、聞いたことない歌だなあ〜と耳を澄ませていたが、聴こえてきた歌詞の内容に私は耐えきれずに布団にダイブした。
「あーー!! ツライーー!! スキーーッ!!」
たとえ声しか聞こえなくても、やっぱり推しは尊く、今夜はとても眠れそうにない。
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