第二篇 クレーターとおそらく動物

蒼い流星群が

誰も傷つけたくないからと

宇宙を散歩していた時に

私は、あまりにも自分勝手だから

彼女の願いを無視して

自分の頭に落ちてきて欲しいと

三回も願ってしまった


だけど

痛いのはやだから

ドンっという感じでも

どかーんという感じでもなくて

コテンッテ 感じで

それこそ星が出てくるような感じで

ぶつかって欲しいとオプションまでつけて

祈ってしまった


思う 見えてないよね、自分しか


だけど

あの流星群はきっと知らないでしょう

私がどうしてこんな気持ちなのか

どうして迷いなく願えてしまうのか

だから 何も考えずに

私に落ちてきてくださいと呟いた


そしたら流星群笑う

あなたが自分勝手であることは

あなたが私の気持ちを推測できてないことを

意味するというのに

なぜわかった気でいるのか滑稽


でも

あなたにぶつかったあと

あなたの体から出てくるものを

纏いながら 宇宙を旅したとき

きっと黒い世界はキャンバスとなり

赤いお絵かきができるでしょうね

いいわ のってあげる


とても美しい世界の素材にしてあげるから

あなたの命も意味を持つでしょう

持つでしょう


「知った気にならないで」


最後に彼女は自分を棚に上げて流星群へそう怒鳴った

その後、そこにはクレーターが生まれた

その少女のことは誰も知らない

でもクレーターと血の跡だけはいつまでも

人々の記憶に残ったという

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