第5話 王国図書館、学びの場所
王城の一角にある図書館は、高い天井と大きな窓から差し込む陽光が、静かで荘厳な雰囲気を醸し出していた。無道は、セレネに連れられ、その一室に足を踏み入れた。
「わぁ…すごい。まるで、古い博物館みたいだ。」
無道は、ずらりと並んだ書架と、そこに収められた古びた書物に目を奪われた。
「ここは、王国の歴史や政治に関する重要な文献が保管されている場所なの。今日は、ここでこの国の歴史と政治について学びましょう。」
セレネは、そう言って無道を奥のテーブルへと促した。
テーブルの上には、何冊かの分厚い書物が積み上げられていた。無道は、その表紙に書かれた見慣れない文字に、少しばかり気が重くなった。
「うーん…なんだか難しそうだなぁ。」
無道がそう呟くと、セレネはいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「ふふっ、大丈夫よ。私が先生になって、無道にわかりやすく教えてあげるから。」
セレネは、そう言って一番手前の書物を開いた。
「さて、まずはこの国の歴史から始めましょう。この国は、かつてはいくつかの小さな国に分かれていて…」
セレネは、ゆっくりと語り始めた。無道は、最初は難しくてよくわからなかったが、セレネの丁寧な説明と、時折挟まれる面白いエピソードのおかげで、徐々に歴史の流れを理解していった。
「…そして、数百年前に初代国王がこれらの国を統一し、今の王国が誕生したの。」
セレネがそう締めくくると、無道は感心したように頷いた。
「へぇ…そんな歴史があったんだ。まるで、昔の日本の戦国時代みたいだな。」
無道がそう言うと、セレネは目を丸くした。
「戦国時代?それは何?」
無道は、セレネに日本の戦国時代について簡単に説明した。勉強はしてこなかった無道だが、歴史には興味があり、詳しかった。
「(…戦国物のゲームをやってて良かった。)」
セレネは、興味深そうに聞き入っていた。
「なるほど…面白いわね。この国の歴史にも、似たような時代があったのかもしれないわ。」
セレネは、そう言って書物をパラパラとめくった。
「さて、次は政治について学びましょう。この国は、民主主義国家でありながら、王家が象徴として存在しているの。そして、貴族制度も残っているわ。」
セレネは、そう説明した。
「民主主義国家で王家と貴族…やっぱり、ややこしいな。」
無道は、頭を抱えた。
「ふふっ、大丈夫よ。少しずつ説明していくから。」
セレネは、そう言って政治の仕組みについて説明を始めた。
「まず、国王は国の象徴で、実際の政治は国民が選んだ代表者が行うの。この代表者たちは、議会という場所で法律を作ったり、国の予算を決めたりするわ。」
「王家が象徴…って、日本の天皇みたいな感じですか?」
無道は、セレネに尋ねた。
「そうね、少し似ているかもしれないわ。でも、この国の王家は、日本の天皇よりももう少しだけ政治に関わることがあるの。」
セレネは、そう答えた。
「へぇ…そうなんですね。それで、貴族ってのは?」
無道は、質問を続ける。
「貴族は、昔から領地を持っていて、地域に力を持っている人たちね。日本の…そうね、上級国民と少し似てるかしら。」
セレネは、少し考えて答えた。
「上級国民…か。なんか、嫌な響きだな。」
無道は、呟いた。
「あら、どうして?」
セレネは、不思議そうに尋ねた。
「だって、なんか特権階級みたいな感じで、自分たちだけが得をするように政治を動かしてそうじゃないですか。」
無道は、答えた。
「ふふっ、無道は勘が良いわね。実際、そういう貴族もいるの。でも、すべての貴族がそうというわけではないわ。中には、自分の領地や地域のために、真剣に考えて行動している人もいるのよ。」
セレネは、そう説明した。
「そうなんですか。以前も聞きましたが、国民が選んだ代表者が政治をするなら、どうしてこの国は悪くなっているんですか?」
無道は、セレネに質問した。
「無道、民主主義は万能ではないの。国民が代表者を選ぶといっても、情報が十分に共有されていなかったり、選挙制度に問題があったりすると、必ずしも国民の意思が正しく反映されるとは限らない。それに、代表者も人間だから、時には過ちを犯したり、誘惑に負けてしまったりすることもあるわ。」
セレネは、無道の疑問に答えるように説明した。
「なるほど…。難しい話ですね。でも、少しだけわかった気がします。つまり、民主主義は完璧じゃないから、僕たちもちゃんとしないといけないってことですね。」
無道は、少し考えてから言った。
「ええ、その通りよ、無道。民主主義は、私たち一人ひとりの力で、より良いものにしていく必要があるの。…さて、話を戻しましょう。
セレネは、そう言って話を元に戻した。
「そして、貴族の中にも、自分の権力や財産を守ることしか考えていない人がいるの。そういう人たちが、政治を悪くしているのよ。」
セレネは、そう説明した。
「なるほど。それで、俺はそういう悪い人たちと戦うのか。」
無道は、納得したように頷いた。
「そういうこと。でも、戦うだけじゃダメよ。まずは、この国の政治の仕組みをよく理解することが大切なの。」
セレネは、そう言って書物を指差した。
「はい…。」
無道は、渋々書物を読み始めた。
セレネは、無道に書物の読み方や、政治の仕組みについて説明する。無道は、最初は難しくてよくわからなかったが、セレネの丁寧な説明のおかげで、少しずつ理解していった。
「そういえば、セレネ様。この前、市場で市長の演説を聞いたんですけど、市長って貴族じゃないんですか?」
無道は、ふと疑問に思ったことを尋ねた。
「あら、良い質問ね。この国では、市長は貴族ではないの。市長は、住民の選挙によって選ばれる地方自治体の長よ。」
セレネは、そう説明した。
「え、じゃあ、貴族は何をするんですか?」
無道は、さらに質問を重ねる。
「貴族は、昔から領地を持っていて、地域社会に対して強い影響力を持っているの。地方の自治においても、一定の権限を持つ場合があるわ。」
セレネは、答えた。
「なるほど。でも、それって日本と違うんですね。日本だと、市長は貴族じゃないし、貴族なんていないし…」
無道は、呟いた。
「そうね。この国は、日本とは違う歴史や文化を持っているから、政治の仕組みも少し違うの。でも、基本的な考え方は同じよ。国民が自分たちの代表を選び、自分たちの手で国を良くしていく。それが民主主義の基本なの。」
セレネは、そう説明した。
「なるほど…少しずつわかってきた気がする。」
無道は、頷いた。
「…ふぅ。少し疲れたな。」
無道は、時計を見て呟いた。
「あら、もうこんな時間。少し休憩しましょうか。」
セレネは、そう言って立ち上がった。
「そうですね。少しお茶でも飲みましょう。」
無道も、立ち上がった。
二人は、図書館の一角にある休憩スペースへと移動した。そこには、テーブルと椅子が置かれ、簡単な飲み物や軽食が用意されていた。
「さて、何にしましょうか?」
セレネは、笑顔で尋ねた。
「そうですね…紅茶をお願いします。」
無道は、答えた。
セレネは、紅茶を淹れ、無道に手渡した。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
無道は、紅茶を一口飲んだ。温かい紅茶が、疲れた体に染み渡る。
「…ふぅ。落ち着く。」
無道は、呟いた。
「ふふっ、よかったわ。」
セレネは、笑顔で言った。
「そういえばセレネ様。この本に書いてある税金ってやつなんですけど」
無道は、セレネに尋ねた。
「あら、税金に興味を持ったのね。良い心がけだわ」
セレネは、嬉しそうに言った。
「はい。あの、税金って一体なんなんですか?」
無道は、質問した。
「税金っていうのはね…」
セレネは、税金について説明を始めた。
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